量子コンピューター開発を加速する新しい温度計 (Novel thermometer can accelerate quantum computer development)

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2021/3/23 スウェーデン王国・チャルマース工科大学

量子コンピューター開発を加速する新しい温度計 (Novel thermometer can accelerate quantum computer development)

・ チャルマース工科大学が、量子演算中の温度を超高精度で高速計測する温度計を開発。
・ 量子コンピューターでは、マイクロ波のパルスが導波管を通じて量子プロセッサに伝送される過程で極低温に冷却される。導波管はまた、マイクロ波のパルスを減衰・フィルタリングし、安定した量子状態での量子コンピューターの作動を可能にする。
・ このメカニズムを最大限に制御するには、電子の熱運動によるノイズの導波管での伝送を回避することが重要であり、コンピューターの量子ビット(q ビット)にパルスを送る導波管の低温部にて電磁場の温度を測定する必要がある。プロセッサを極低温度で作動すれば、q ビットのエラーのリスクを最小化できる。
・ 従来ではこのような電磁場の温度を長時間の遅延を伴いながら間接的に測定していたが、今回開発の新温度計は導波管の受信端で高精度・高時間分解能で直接計測する。導波管の先端に直接取り付ける超伝導回路で、比較的シンプルな世界最速・超高感度の温度計と考える。
・ 同大学の Wallenberg Centre for Quantum Technology(WACQT)では、十分に機能する最低でも 100個の q ビットの超伝導回路ベースの量子コンピューターを 2030 年までに開発する目標を掲げている。このためには、理想的には 10 ミリケルビンの絶対零度付近で作動するプロセッサが必要となる。新温度計は、このような技術開発の進展を助ける重要なツールとなる。
・ 新温度計はまた、信号を量子状態へと処理するケーブル等の構成部品の品質保証を必要とするサプライヤーにとっても有用となる。
・ 量子のもつれ、重ね合わせやデコヒーレンスのような量子力学的現象は、次世代コンピューティングだけでなく熱力学にも革新をもたらすもの。熱力学の法則はナノスケールで変化すると考えられ、より強力なエンジンや高速充電電池等の開発に活用できる可能性がある。
URL: https://news.cision.com/chalmers/r/novel-thermometer-can-accelerate-quantum-computer-development,c3311506

<NEDO海外技術情報より>

(関連情報)

Physical Review X 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Primary Thermometry of Propagating Microwaves in the Quantum Regime
URL: https://journals.aps.org/prx/abstract/10.1103/PhysRevX.10.041054

Abstract

The ability to control and measure the temperature of propagating microwave modes down to very low temperatures is indispensable for quantum information processing and may open opportunities for studies of heat transport at the nanoscale, also in the quantum regime. Here, we propose and experimentally demonstrate primary thermometry of propagating microwaves using a transmon-type superconducting circuit. Our device operates continuously, with a sensitivity down to 4×104photons/Hz and a bandwidth of 40 MHz. We measure the thermal occupation of the modes of a highly attenuated coaxial cable in a range of 0.001 to 0.4 thermal photons, corresponding to a temperature range from 35 mK to 210 mK at a frequency around 5 GHz. To increase the radiation temperature in a controlled fashion, we either inject calibrated, wideband digital noise, or heat the device and its environment. This thermometry scheme can find applications in benchmarking and characterization of cryogenic microwave setups, temperature measurements in hybrid quantum systems, and quantum thermodynamics.

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