天然ガスハイドレートと相似な構造を有するシリカクラスレート鉱物
2020-12-18 国立科学博物館,東北大学,千葉県立中央博物館,物質・材料研究機構
国立科学博物館地学研究部、産業技術総合研究所、東北大学、千葉県立中央博物館、NIMSは、アマチュア研究家の西久保勝己氏、本間千舟氏、結晶形態研究者の高田雅介氏と共同で、千葉県内で採取された鉱物が新鉱物であることを突き止め、「房総石」と命名しました。
概要
独立行政法人国立科学博物館地学研究部、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人東北大学、千葉県立中央博物館、国立研究開発法人物質・材料研究機構は、アマチュア研究家の西久保勝己氏、本間千舟氏、結晶形態研究者の高田雅介氏と共同で、千葉県内で採取された鉱物が新鉱物であることを突き止め、「房総石」と命名しました。房総石は、同じく千葉県から2011年に報告された新鉱物「千葉石」を詳しく調べる過程で発見されました。千葉石と房総石はともに、ありふれた成分である二酸化ケイ素を主成分としますが、ケイ素原子と酸素原子から構成された「かご」状の結晶構造を持ち、「かご」の内部にはメタンなどの天然ガス分子が閉じ込められています。これらの結晶構造は、水分子による「かご」の中にガス分子が閉じ込められた天然ガスハイドレートと相似形です。
天然ガスハイドレートには、最も量の多いメタンハイドレート (別名I型) の他に、II型、H型と呼ばれる計3種が知られており、千葉石はII型、房総石はH型相当の構造をもちます。房総石は結晶内に天然ガスを閉じ込めたタイムカプセルとみなすことができ、地層中での有機物の分解・脱ガス反応を調べる新たな手がかりになると期待されます。
本研究の成果は、英国の学術雑誌『Mineralogical Magazine』2020年12月号に掲載されました。
プレスリリース中の図 : 房総石 (白く明るい部分) と千葉石 (真っ黒な部分) の偏光顕微鏡写真。周辺のクリーム色から灰色の部分は方解石。
掲載論文
題目 : Bosoite, a new silica clathrate mineral from Chiba Prefecture, Japan.
(千葉県から発見された新種のシリカクラスレート鉱物、房総石)
著者 : Koichi Momma, Takuji Ikeda, Toshiro Nagase, Takahiro Kuribayashi, Chibune Honma, Katsumi Nishikubo, Naoki Takahashi, Masayuki Takada, Yoshitaka Matsushita, Ritsuro Miyawaki and Satoshi Matsubara
掲載誌 : Mineralogical Magazine
DOI : 10.1180/mgm.2020.91