2020-07-10 国立天文台
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ネオワイズ彗星が見ごろ
2020年3月に発見された新彗星、ネオワイズ彗星(C/2020 F3 (NEOWISE))が見ごろを迎えています。当初の予想よりも少々明るく、7月8日現在、明るさは1~2等級で観測されています。この後は、ゆっくりと暗くなっていくことが予想されますが、しばらくは肉眼でも見える明るさだと予想されます。また適度な設定で写真撮影すると、ぼんやりした姿を映すことができそうです。
ネオワイズ彗星の見え方
彗星は、恒星や惑星とは違い、ぼんやりとした姿で見られます。ネオワイズ彗星は、7月上旬現在、空の暗いところでは肉眼でも淡い尾を引いた姿が見られています。市街地の空や、薄明が目立ってきた空では、双眼鏡や望遠鏡が必要になるかもしれません。
ネオワイズ彗星の見える位置
ネオワイズ彗星は、7月前半には明け方の北東の低い空に見られますが、7月半ばを過ぎると高度が低くなり、見えづらくなります。
7月後半になると、夕方の北西の低い空に見えるようになります。夕方の空では、日を追うごとに地平線からの高度が高くなり、見やすい位置になります。ただし、明るさは徐々に暗くなっていきます。下の位置を参考に、観察してください。
明け方:日の出1時間前(東京)
日付 | 方角 | 地平高度 | 明るさ(注1、注2) | 尾の方向 |
---|---|---|---|---|
7月10日頃 | 北東 | 約8度 | 約2等 | 上側 |
7月15日頃 | 北東 | 約7度 | 約2等 | 上側 |
夕方:日の入1時間後(東京)
日付 | 方角 | 地平高度 | 明るさ(注1、注2) | 尾の方向 |
---|---|---|---|---|
7月15日頃 | 北西 | 約9度 | 約2等 | 右上側 |
7月20日頃 | 北西 | 約20度 | 約3等 | 右上側 |
7月25日頃 | 西北西 | 約30度 | 約4等 | 上側 |
7月30日頃 | 西北西 | 約36度 | 約5等 | 上側 |
(注1)彗星の明るさを正確に予想することは難しいため、これよりも明るく見えたり、暗く見えたりすることがあります。
(注2)彗星の等級は、同じ等級の星と比較したときに、ぼんやり見える部分すべてを含めた光量が等しくなるという意味で、同じ見え方であるということではありません。一般的に彗星の場合は、同じ等級の星より暗く感じられます。
(参照)暦計算室ウェブサイト:「今日のほしぞら」では、代表的な都市の星空の様子とともに、ネオワイズ彗星の位置を表示することができます。
観察のポイント
「明るい彗星」と聞くと、図鑑等に載っているような、明るく、立派な尾を引いた姿を想像するかもしれません。しかし彗星は、肉眼では淡くぼんやりとした光のかたまりのように見える天体で、惑星や星座を形作る星(恒星)のように明るくしっかりとした形には見えません。このため、市街地の空や、薄明で明るくなった空では、空の明るさにまぎれてしまい、とても見えづらい可能性があります。彗星のような淡い天体は、双眼鏡を使うと見つけやすくなりますので、双眼鏡をお持ちの方は、ぜひ使ってみてください。双眼鏡で探した後に、肉眼で探すと見えることがあるかもしれません。
適度な設定をすると、カメラでも撮影が可能です。夜景モードなど、暗いものが写りやすい設定をお試しください(詳しくはカメラのマニュアルをご参照ください)。また三脚を使用すると、ぶれずに撮影することができます。
ネオワイズ彗星の基本情報
ネオワイズ彗星(C/2020 F3 (NEOWISE))は、3月28日(日本時、世界時では3月27日)に赤外線探査衛星「ネオワイズ(NEOWISE : Near-Earth Object Wide-field Infrared Survey Explorer)」により発見されました。7月4日(日本時、世界時では7月3日)に近日点を通過(太陽に最も接近)し、彗星活動のピークを迎えています。軌道は、放物線にごく近い楕円軌道で、次に太陽に近づくのは5000年以上先とみられます。
(参照)基礎知識「彗星」:彗星とはどのようなものかを解説しています。