「食料安全保障・栄養危機と紛争の悪循環を断ち切るための強靭性構築」
[Regional Overview of Food Security and Nutrition in Africa 2017. The food security and nutrition–conflict nexus: building resilience for food security, nutrition and peace.
2018-02-21 国際連合食糧農業機関
パート1
2017年の世界の食品安全と栄養 ………………………………………………………1
長期的な衰退の後、世界の飢餓が再び上昇しているように見える。………………… 2
子供の栄養不良は引き続き減少しているが、過体重のレベルは増加している。……..2
新しい時代:2030年の食糧安全保障と栄養持続可能な開発のための課題。…………3
人口における食糧不安の深刻化…………………………………………………………..4
あらゆる形態の栄養失調の傾向。食糧安全保障と栄養の総合的な理解に向けて。… 21
食糧安全保障と栄養を監視するための証拠ベースを強化する。…………………….. 25
進歩は遅れており、新たな懸念が浮上している。……………………………………. 27
パート2
紛争、食糧安全保障と栄養:持続可能な平和の命令。…………………………………29
なぜ紛争、食糧安全保障と栄養との関係に焦点を当てるのか。…………………….. 30
紛争はどのように食糧安全保障と栄養に影響を及ぼすか……………………………..39
食糧不安と栄養不足が葛藤の原因になることはあるか?……………………………..52
平和を維持する上での食糧安全保障と栄養の役割。 ………………………………….60
全体的な推奨事項…………………………………………………………………………73
「概要」
サブサハラ・アフリカにおいて、栄養不足に陥っている人口の割合は、21世紀最初の十年で29.1%から20.6%まで減少したものの、2015-2016年には2億人から2.24億人へと22.7%へ再び上昇に転じた。2016年で8.15億人と推定される世界的に栄養不足に苦しむ人々の4人に1人(25%)がアフリカにいる計算になる。主な原因は、紛争やエルニーニョ等に起因する旱魃が引き起こした不作・家畜の損失によるものである。紛争は農村における農業生産・フードシステムを破壊し、緊急かつ慢性な食料危機・栄養失調をもたらす。紛争地域における栄養失調率は、そうでない地域の2倍とも推定されている。世界の栄養失調人口の半数以上(4.89億人)が紛争地域に居住する中、世界でも最も激しい紛争の3分の1以上がアフリカで起こっており、また長期化する紛争を抱える国の7割がアフリカ地域に存在する。とくに紛争の影響が大きい地域は、ナイジェリア北東部、南スーダン、ソマリアであり、1580万人が影響を受けたと推定される。アフリカ全体の栄養失調人口の地域的分布の観点では、東アフリカの割合が大きい。食料安全保障の危機・栄養失調は、また、紛争を伴う社会政治不安の温床となり、気候変動の影響も相まって、人道危機の原因をさらに複雑化させる。アフリカ諸国を代表するアフリカ連合は、食料安全保障・栄養改善に関して、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の目標2や『栄養のための行動の10年』(Decade of Action on Nutrition 2016-2025)の他、独自に飢餓の撲滅と貧困の半減への目標を設定している。とくにマラボ・コミットメント(2014 Malabo commitment)は、2025年までに飢餓の撲滅・低体重(stunting -10%以下)・低体重(underweight – 5%以下)削減達成を目指している。アフリカ諸国が食料安全保障・栄養の危機と紛争の関係を断ち切り、平和構築を達成するためには、食料・栄養に関わるマルチセクターでの介入を支援する政策フレームワークと投資戦略を支える資源・制度的キャパシティー強化等の支援が必要となる。
報告書原文は
http://www.fao.org/3/a-I7695E.pdf
なお、目次の翻訳は、「テック・アイ技術情報研究所」の文責。
「概要」は国際農研「JIRCAS」の以下のサイトから引用している。http://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20180221_0