2022-12-28 九州工業大学,九州大学,科学技術振興機構
ポイント
- 数十マイクロメートルの気泡が多数、分散した水において個々の気泡のサイズの時間変化を予測する法則を解明した。
- 気泡半径の平均値や分布関数のみを測定する従来の手法ではなく、顕微鏡による直接観察と画像解析を用いることで、
1000個程度の気泡の半径変化を個別に計測した。 - 飽和結晶溶液において結晶粒子が多数あるときに見られるオストワルト熟成と呼ばれる現象が気泡分散系でも成立することを示した。
九州工業大学 大学院情報工学研究院の植松 祐輝 准教授、九州大学 大学院理学研究院 木村 康之 教授らの共同研究グループは、数十マイクロメートルの気泡が多く分散した水において個々のバブルが従うサイズの時間変化の法則を解明しました。今回の発見は、産業利用されているマイクロバブル水の気泡サイズ制御法の改善、基礎科学の未解決問題とされているナノバブルの安定性解明の端緒となります。将来的には、例えば、洗剤を使わなくとも汚れを落とすことができる洗浄用水の開発や、野菜の収量や魚介類の養殖生存率を増加させるための農漁業用水の開発など多方面の産業の発展に寄与するものと考えています。
本研究成果は、米国物理協会雑誌「The Journal of Chemical Physics(論文誌)」(日本時間2022年12月28日)に掲載されます。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「複雑な流動・輸送現象の解明・予測・制御に向けた新しい流体科学(研究総括:後藤 晋)」における研究課題「マイクロ・ナノ界面系でのイオン流体科学の創出(研究代表者:植松 祐輝、JPMJPR21O2)」、JSPS 科研費 18KK0151、20K14430、クリタ水・環境科学振興財団 21E006、九州大学 QRプログラム R3-01302の助成を受けたものです。
<論文タイトル>
- “Ostwald ripening of aqueous microbubble solutions”
- DOI:10.1063/5.0128696
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>
植松 祐輝(ウエマツ ユウキ)
九州工業大学 大学院情報工学研究院 准教授
木村 康之(キムラ ヤスユキ)
九州大学 大学院理学研究院 教授
<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ
<報道担当>
九州工業大学 広報課
九州大学 広報室
科学技術振興機構 広報課