「だいち2号」による平成30年北海道胆振東部地震の観測結果について

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2018/09/10 JAXA

概要

  • 平成30年北海道胆振東部地震について、国土交通省等の要請に基づき2018年9月6日に「だいち2号」による観測を実施した。
  • 観測結果は関係省庁や自治体などに提供された。
  • 観測画像からは、多数の土砂崩壊が発生している状況が見られた。
  • (9月10日追記)9月8日の4偏波モードの観測データを用いて土砂災害箇所を抽出した。

2018年9月6日3時7分頃(日本時間、以下同じ)に発生した北海道胆振東部地震について、JAXAは 国土交通省などからの要請に基づき「だいち2号」(ALOS-2)搭載の合成開口レーダ「PALSAR-2」による 緊急観測を行い、データを関係省庁、防災関係機関等に随時提供しました。
表1に今回の観測の概要を、図1に観測範囲を示します。

表1:だいち2号(ALOS-2)による観測の概要

観測日時(日本時間) 軌道番号 観測モード 軌道方向 観測方向
(1) 2018年9月6日 11:41頃 18 Stripmap 3m 南行軌道 右(およそ西向き) U2-7
(2) 2018年9月6日 22:38頃 116 Stripmap 3m 北行軌道 左(およそ西向き) U2-9
(3) 2018年9月8日 23:19頃 122 Stripmap 6m 北行軌道 右(およそ東向き) FP6-4

※観測偏波:3mモードはHH偏波、6mモードは4偏波(HH、HV、VH、VV)。

 

図1: PALSAR-2による観測範囲。図中の(1)~(3)は観測日時を表す(表1の数字に対応)。

図2は2018年9月6日に取得された(1)(2)の観測画像の全体像で、災害前の2018年8月23日に取得された画像を赤色に、 今回取得された災害後の画像を水色にして色合成したカラー画像で示し、変化が色で分かるようにしています。 図3は図2赤枠部分の厚真町吉野地区周辺の拡大図です。 赤い部分は土砂崩壊により森林が裸地になった部分、青い部分は崩れた土砂や樹木が堆積している状況を大まかに表します。 このような変化は図3で示した地域以外の山間部でも見られ、非常に広い範囲で土砂崩れが発生したと見られます。 なお、農地の作物の生育状況など、本災害と関係のない変化にも色がついて見えている場合があります。

図2:(左)2018年9月6日11:41頃の観測画像と、(右)2018年9月6日22:38頃の観測画像。
いずれも災害前の2018年8月23日に同じ条件で取得された画像を赤色に、
今回取得された災害後の画像を水色にして色合成したカラー画像で示す。

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図3:2018年9月6日11:41頃の厚真町吉野地区周辺の拡大図(図2赤枠部分)
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図4は、2018年9月8日に取得された(3)の観測画像の全体像です。 この観測は地表の状況をより詳しく把握できる4偏波モード(フルポラリメトリ)で行われており(注)、画像は 地表の偏波散乱特性に基づいて疑似的にカラー化されています。 図5(左)は図4赤枠部分の厚真町周辺の拡大図で、赤く見える部分は土砂崩壊により森林が裸地になった部分を大まかに表します。 図5(右)はこの特徴をもとに画像処理により土砂崩壊部分を抽出したもの(赤色部分)です。

図4:2018年9月8日23:19頃の観測データによる偏波カラー合成画像(R:G:B = HH+VV:HV:HH-VV)。
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図5:(左)2018年9月8日23:19頃の観測画像の厚真町周辺の拡大図(図4赤枠部分)、
(右)左の画像から抽出した土砂崩壊箇所(赤色部分)。

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今回の災害で被害にあわれた全ての方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、早期の復旧・復興を願っております。

(注)PALSAR-2は、電界が地面に対して水平向きに振動する「水平偏波(H)」と、地面に垂直向きに振動する「垂直偏波(V)」と呼ばれる、 性質の異なる2種類の電波を観測に使用できます。 今回用いられた4偏波モード(HH+HV+VH+VV)は、衛星から地表に電波を照射する際にはH偏波とV偏波を交互に送信し、 それぞれ地表からの反射波を受信する際にもHとVを同時に受信することにより、 H送信-H受信(HH)、H送信-V受信(HV)、V送信-H受信(VH)、V送信-V受信(VV)の4種類のデータを取得できます。 さらに、これらのデータに対して数学的な処理を加えることにより、地上の電波の反射過程の違い(表面反射、2回反射など)を示す 様々な画像が得られます。

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