6G通信に向けた光源の新原理を提案 ~周波数変換を可能にする時間変調磁性メタマテリアルの実現に期待~

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2023-04-28 東北大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 第6世代移動通信システム(6G通信)に不可欠な、高周波のミリ波やテラヘルツ光を生み出す光源の新原理を提案しました。
  • 新たな光源には磁石を用いた人工構造物質(磁性メタマテリアル)を用います。
  • 本研究は時間変調磁性メタマテリアルの開発、さらには6G通信用の新光源の実現につながると期待されます。

現在の第5世代を超える超高速・大容量のデータ通信を実現する6G通信には、高周波のミリ波やテラヘルツ光を生み出す新しい光源が必要です。新たな光源から放たれるミリ波やテラヘルツ光は、大容量のデータを乗せて高速に運ぶ役割を担います。超低消費電力化と低コスト化のためには、このような光源を小型化して室温動作させることが極めて重要です。

東北大学 高度教養教育・学生支援機構の児玉 俊之 特任助教、多元物質科学研究所の菊池 伸明 准教授、岡本 聡 教授、大学院理学研究科の大野 誠吾 助教、高度教養教育・学生支援機構の冨田 知志 准教授(大学院 理学研究科 兼務)は、スピン注入と呼ばれるスピントロニクスの手法を組み合わせることで、マイクロ波に対する磁性メタマテリアルの応答を大きく変化させることに成功し、磁石を組み込んだメタマテリアルによる新光源の原理を提案しました。

この手法を発展させると、マイクロ波に対するメタマテリアルの応答を時間的に変化させる時間変調磁性メタマテリアルが実現できると考えられます。時間変調磁性メタマテリアルを用いれば、マイクロ波をミリ波に、ミリ波をテラヘルツ光に周波数変換することが可能になります。これは室温で動作する6G通信用の新たな周波数可変の小型光源の実現につながります。

本成果は、2023年4月26日(現地時間)、米国物理学会の専門誌「Physical Review Applied」に掲載されました。

本研究は、科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業(CREST)「独創的原理に基づく革新的光科学技術の創成」領域(河田 聡 研究総括)の「時間変調メタマテリアル非線形フォトニクスの基盤構築」(研究代表者:東北大学 大学院工学研究科 金森 義明 教授、課題ID JPMJCR2102)で行われました。また試料の作製と測定での装置利用は、物質・デバイス領域共同研究拠点展開共同研究「ナノスケール磁性体のスピンダイナミクスに関する研究」(課題番号 JP20224043)の枠組みを活用しました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Spin-Current-Driven Permeability Variation for Time-Varying Magnetic Metamaterials”
DOI:10.1103/PhysRevApplied.19.044080
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
冨田 知志(トミタ サトシ)
東北大学 高度教養教育・学生支援機構 准教授

<JST事業に関すること>
安藤 裕輔(アンドウ ユウスケ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
東北大学 教育・学生支援部 学務課 学務企画係(担当:小田嶋 恵子)
科学技術振興機構 広報課

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