テラヘルツ波のための金粒子を埋め込んだ新しいトランスミッタ

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(Peppered with gold Research team presents novel transmitter for terahertz waves)

2020/3/16 ドイツ連邦共和国・ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ協会(HGF)

figure2

・ ドレスデン・ロッセンドルフ研究所(HZDR)とドイツ・コンスタンツ大学が、テラヘルツ波の短パルスを発振する、金原子をドープしたゲルマニウム(Ge)ベースのトランスミッタを開発。
・ 同短パルスは極めて広域のスペクトルを有するため、複数の異なるテラヘルツ周波数を同時に獲得できる。同トランスミッタは、現行の半導体産業技術で製造が可能。
・ 電磁波スペクトルにおいてマイクロ波と赤外線の間に分類されるテラヘルツ波の利用は 2000 年初頭に始まっているが、そのトランスミッタは比較的大型で高価な上、得られるテラヘルツ波では望ましい特性に欠けることがある。
・ テラヘルツ波発振で確立された技術の一つは、ヒ化ガリウム(GaAs)結晶によるもの。同半導体結晶に短いレーザーパルスを照射すると、GaAs で形成された電荷が電圧により加速されることでテラヘルツ波を放出。これは、移動する電荷が電波を作る VHF トランスミッターマストのメカニズムと基本的に同じ。
・ ただし、このような GaAs 技術では高価な特殊レーザーを要し、光ファイバー通信用の標準的なレーザーが利用不可能なこと、また、得られるのが狭帯域のテラヘルツパルスのみであるため、アプリケーションが著しく制限されることが課題となっている。
・ Ge 半導体では、より安価なファイバーレーザーを使用できることに加え、Ge 結晶の透過性が極めて高いため、広帯域のパルスの放出が可能になる。しかし、短いレーザーパルスの照射後、Ge 半導体中の電荷消失と次のレーザーパルス吸収までに数マイクロ秒がかかり、現在のレーザーは、Ge には速すぎる、数十ナノ秒の間隔でパルスを照射する。
・ この問題に対処するため、Ge 結晶にイオン加速器で金原子を 100nm の深さまで打ち込み、900℃ で数時間加熱して Ge 結晶中に金原子を均一に分散させた。このような Ge 半導体に超短レーザーパルスを照射すると、従来の約数千倍の速さである 2 ナノ秒以内に電荷が消失。金原子が、電荷を捉えて中性化するトラップとして機能する。
・ GaAs 半導体の 7THz の十倍の 70THz という広帯域のテラヘルツパルスが得られるため、アプリケーションの範囲が拡大する。さらに、既存のマイクロチップ技術による製造が可能。また、光ファイバーレーザーが利用できることから、同技術の小型化と低コスト化が期待できる。
URL: https://www.hzdr.de/db/Cms?pNid=99&pOid=60476

(関連情報)
Light: Science & Applications 掲載論文(フルテキスト)
Up to 70 THz bandwidth from an implanted Ge photoconductive antenna excited by a femtosecond Er:fibre laser
URL: https://www.nature.com/articles/s41377-020-0265-4

<NEDO海外技術情報より>

Abstract

Phase-stable electromagnetic pulses in the THz frequency range offer several unique capabilities in time-resolved spectroscopy. However, the diversity of their application is limited by the covered spectral bandwidth. In particular, the upper frequency limit of photoconductive emitters – the most widespread technique in THz spectroscopy – reaches only up to 7 THz in the regular transmission mode due to absorption by infrared-active optical phonons. Here, we present ultrabroadband (extending up to 70 THz) THz emission from an Au-implanted Ge emitter that is compatible with mode-locked fibre lasers operating at wavelengths of 1.1 and 1.55 μm with pulse repetition rates of 10 and 20 MHz, respectively. This result opens up the possibility for the development of compact THz photonic devices operating up to multi-THz frequencies that are compatible with Si CMOS technology.

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