サンマの不漁要因と海洋環境との関係について (調査・研究の進捗)

ad

2023-04-07 水産研究・教育機構

水産研究・教育機構は、近年のサンマの不漁要因及び環境変動の関係について解明を進めてきており、得られた科学的知見を報告します。

【不漁要因と環境変化との関係】
・ 日本におけるサンマの漁獲量の減少は、2010年に突然起きた分布の沖合化が契機であったと考えられる。
・ 2010年以降も海洋環境や餌環境の変化等により沖合化と資源の減少が継続、進行している。
・ 沖合化の背景として、近年の親潮の弱化とそれに伴う道東・三陸沖の水温の上昇があると考えられる。
・ サンマの餌となる動物プランクトンの量も、近年、減少傾向にある。
・ サンマの分布域が沖合に偏ったために産卵場や生育場も、餌条件が良くない沖合に移動している。
・ 沖合の方が餌の密度が低いため、生育場の沖合化は、成長の低下を招くだけではなく、成熟にも悪影響を及ぼしている。
・ 日本に近い海域では、他の浮魚類が増加したことにより、サンマが日本の近くに回遊しにくくなっている可能性が考えられる。
・ 音響技術による浮魚類の分布把握のための技術開発や、回遊に関する生理変化を遺伝子分析から解明しようとする新たな研究を進めている。

水産研究・教育機構は、サンマの資源状況及び不漁要因の解明を引き続き進め、北太平洋漁業委員会における国際的資源評価に貢献し、水産資源の持続的利用及び我が国の漁業生産のため、科学の視点から貢献してまいります。
令和3年に水産庁で開催された「不漁問題に関する検討会」において、『不漁の要因となる環境変化や漁海況等の状況については、継続して把握することが必要である。その際、資源の再生産への影響についても把握すること等が重要である』と意見がとりまとめられました。今回の報告は、水産研究・教育機構がこれまで都道府県や大学等の学術機関と協力しつつ行ってきたサンマに係る調査・研究の成果や進捗状況をとりまとめたものです。
本研究の成果の一部は、水産庁事業(水産資源調査・評価推進事業)及び科研費基盤研究(C)「 黒潮続流域でのサンマ仔稚魚の生残過程:初期餌料と最適成長環境の探索(20H0305915)」により得られました。

詳しい資料は≫

本件照会先:
国立研究開発法人 水産研究・教育機構 水産資源研究所
(研究担当者)広域性資源部 副部長 久保田 洋
(広報担当者)企画調整部門 部門長 上原 伸二

ad

1404水産水域環境
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました