2021-12

1702地球物理及び地球化学

津波が作った磁場から波高がわかる~海底で観測された磁場と津波波高の直接比較~

2011年に世界で初めて「津波が観測可能な電磁場を伴うこと」を海底観測により実証しました。本研究ではそれをさらに発展させ、津波の波高と海底磁場の同時観測データを用いて、津波とそれが作る磁場の位相と振幅の関係を解明しました。この結果は、磁場が津波に非常に敏感であることを示し、津波の早期警戒法の改善に今後役立つものと考えられます。
0400電気電子一般

接着剤いらずの超柔軟導電接合~フレキシブルエレクトロニクスの集積化に貢献~

水蒸気プラズマを用いる新しい接合技術(WVPAB)を開発しました。異なる薄膜基板上の金電極同士を配線する際に、接着剤を介さず、電極同士を直接接合できます。接合部の最小曲げ半径は0.5mm未満と非常に柔軟です。WVPAB接合部の抵抗は0.07Ωと極めて低抵抗を達成しました。機械的耐久性も1万回の曲げで電気抵抗の変化が1%未満と優れており、かつ熱安定性にも優れ、100℃で500時間加熱しても酸化による劣化は生じず、むしろ金属結合が促進されることで、電気抵抗が8%改善しました。フレキシブルな有機太陽電池と有機発光ダイオード(有機LED)を、超薄型配線フィルムを介して相互接続することにも成功しました。
0504高分子製品

生分解材料からなる両親媒性高分子を開発~ポリエステルとポリアミド由来ジブロック共重合体の創製~

生分解性骨格からなる新たな両親媒性高分子材料を開発した。ポリエステルとポリアミドを結合させた新素材を開発し、両親媒性を実証。原料成分にいずれも生分解性のあるポリエステルとポリアミドを採用。
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0403電子応用

秩序と乱れが共存した高性能な液晶性有機半導体を開発~電子回折により液晶が凍結した分子配列構造を確認~

分子配列の秩序と乱れが共存した高性能な液晶性有機半導体を開発し、その極薄膜が液晶凍結状態であることを、クライオ電子顕微鏡を用いた電子線結晶構造解析により捉えることに成功しました。
1700応用理学一般

巨大な磁場応答を示す三角格子磁性半導体~三拍子揃った稀有な磁性材料の発見~

磁性を担う元素が三角格子をなす新しい磁性半導体を開発し、磁気秩序温度よりもはるかに高温から巨大な異常ホール効果を発現させることに成功した。
1701物理及び化学

星のゆりかごを撮影した画像から多数の浮遊惑星を発見

すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ(HSC)などを用いて星形成領域を撮影した画像から、およそ100個もの浮遊惑星が発見されました。星形成の理論モデルと比較した結果、これらのほとんどは、通常の惑星と同様に恒星の周りで生まれた後に、それぞれの惑星系から放出されたことが明らかになりました。宇宙空間を漂う惑星質量の天体について、その正体と起源に迫る重要な成果です。
1701物理及び化学

レーザーアシステッド(e, 2e)の初観測 ~レーザー場で歪む電子波動関数~

高強度レーザー場中における電子衝撃イオン化過程であるレーザーアシステッド(e,2e)を観測するために、発生する二つの電子を2台の電子分析器で高効率に検出する独自の装置を開発し、アルゴン原子を用いてレーザーアシステッド(e,2e)を初めて観察した。得られたレーザーアシステッド(e,2e)信号の三重微分散乱断面積の解析の結果、アルゴン原子の電子波動関数の歪みを捉えることに成功し、30年以上前に報告されていた理論予測を実証した。
1701物理及び化学

スカスカなゲルの固体物性~ギュウギュウなガラスとは本質的に違っている~

2021-12-22 東京大学 発表者 水野 英如(東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 助教) 池田 昌司(東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 准教授) 発表のポイント ゲルの固体物性をコンピュータシミュレーション(注1...
0500化学一般

塩基の代わりに酸を使うクロスカップリング反応~放射光が解き明かすルイス酸の役割~

2021-12-22 理化学研究所,大阪大学,東京医科歯科大学 理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター分子標的化学研究チームの丹羽節副チームリーダー(研究当時、現東京医科歯科大学生体材料工学研究所生命有機化学分野准教授)、細谷孝充チー...
1700応用理学一般

複雑な化学反応ネットワークを単純化する~ホモロジー代数を用いた縮約手法の確立~

2021-12-22 理化学研究所 理化学研究所(理研)数理創造プログラムの広野雄士客員研究員、岡田崇上級研究員、宮﨑弘安上級研究員、日高義将客員研究員の研究チームは、「ホモロジー代数」という数学の手法を用いて、複雑な化学反応ネットワークを...
2000原子力放射線一般

世界初!あらゆる物質中の放射線の動きを原子サイズで予測

放射線の原子サイズ(約1ナノメートル)における複雑な動きをあらゆる物質中で予測し、放射線影響を原理から予測できる飛跡構造解析コード「ITSART」を開発しました。
1702地球物理及び地球化学

海洋由来のエアロゾル粒子が南極海上空の雲の性質に影響 〜衛星観測をもとに解明〜

衛星観測で得られた雲の相状態(水雲か氷雲か)を判別できるデータから、南大洋及び南極大陸沿岸域での氷雲の存在割合を調査しました。夏季には、上空の気温が約-10℃以上の環境下で、ほかの温度帯よりも氷雲の存在割合が高く、海洋生物由来の粒子が氷晶の核となり氷雲の形成を促進している可能性が示されました。一方、冬季には、海から大気へ雲の核となる粒子を大量に供給する波しぶきが形成される強風時に、上空の気温が約-20℃以上の環境下で氷雲の存在割合が高くなることが明らかとなりました。
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