光を使って回路を操る ~フレキシブル有機電子回路の電気特性制御を実現~

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2021-09-21 大阪大学,科学技術振興機構

ポイント
  • 光による分子構造変化を利用した有機電子回路の電気特性制御に成功しました。
  • 有機電子回路の電気特性制御には複雑な構造・材料選択が必要でしたが、本技術では同一の構造・材料に対して部分的に光照射を行うだけで電気特性制御を可能にしました。
  • フレキシブル電子回路のさらなる高性能化により、超軽量ウェアラブル・ヘルスケアデバイスなどへの応用が期待されます。

大阪大学 産業科学研究所の植村 隆文 特任准教授(常勤)(JST 創発的研究支援事業 創発研究者、産業技術総合研究所 特定フェロー 兼任)、大学院生の田口 剛輝さん(工学研究科 博士後期課程、産業技術総合研究所 リサーチアシスタント)、関谷 毅 教授らの研究チームは、オーストリアのJoanneum研究所のAndreas・Petritz(アンドレアス ペトリッツ) 博士、Barbara・Stadlober(バーバラ シュタットローバー) 主任の研究チームとともに、光照射によるフレキシブル有機トランジスター集積回路特性の制御技術の開発に成功しました。

これまで、複数の有機トランジスターから構成される集積回路の作製と、その電気特性制御を実現するためには、制御用電極を付与した構造や、複数の界面修飾材料を個別に成膜するなど、複雑な構造、または複数の有機材料を使いこなす必要がありました。

今回、研究グループは、光照射によって分子構造が変化する高分子材料を有機トランジスターの絶縁層として用いることにより、集積回路の特性を自在に変化させることに成功しました。この技術は、単一のデバイス積層構造と、同じ有機材料の組み合わせで構成される有機トランジスターにおいて、光照射を行うことによってトランジスターの電気特性を自在に変化させる技術です。複数の有機トランジスターから構成される集積回路の作製工程において、狙ったトランジスターのみを光照射によって制御することが可能であるため、従来方法と比べて飛躍的に簡単な工程と、少ない材料使用によって電子回路特性を制御することが可能です。今回の研究成果により、無意識下のウェアラブル生体計測を例として、実空間のあらゆる対象物をセンシングする技術として開発が進められているフレキシブル電子回路のさらなる高性能化が期待されます。

本研究成果は、独国の国際学術誌「Advanced Materials」に、9月21日(日本時間)に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 創発的研究支援事業、産総研・阪大 先端フォトニクス・バイオセンシングオープンイノベーションラボラトリにおける研究の一環として行われ、日本学術振興会(JSPS) 科研費、JST・Center of Innovation Program、文部科学省(MEXT) ナノテクノロジープラットフォーム事業、人・環境と物質をつなぐイノベーション創出ダイナミック・アライアンスの支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Heterogeneous Functional Dielectric Patterns for Charge Carrier Modulation in Ultraflexible Organic Integrated Circuits”
DOI:10.1002/adma.202104446
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
植村 隆文(ウエムラ タカフミ)
大阪大学 産業科学研究所 特任准教授(常勤)

<JST事業に関すること>
浅野 佳那(アサノ カナ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 創発的研究支援事業推進室

<報道担当>
大阪大学 産業科学研究所 広報室
科学技術振興機構 広報課

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