将来の不確実性を考慮に入れた飢餓リスクとその対応策の算定

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2021-08-10 京都大学

藤森真一郎 工学研究科准教授、長谷川知子 立命館大学准教授、櫻井玄 農研機構上級研究員、高橋潔 国立環境研究所副領域長、肱岡靖明 同副センター長、増井利彦 同室長の研究グループは気候変動によって極端な気象現象が増加し、世界全体の将来飢餓リスクがどの程度増えるのか、またそれに備えるには食料備蓄がどの程度追加で必要になるかを明らかにました。

気候変動は、極端な気象現象の頻度、強度、および空間的広がりを増大させると予想され、将来の食料生産にとって重要な懸念事項となっています。しかし、これまでの研究では食料安全保障は確率的に表現した極端現象を対象とはせずに、平均的な気候変動下の想定で分析されてきました。今回本研究グループは作物モデルと将来の気候の不確実性を考慮に入れて、極端な気象現象が将来の食料安全保障に与える影響を推定しました。

その結果100年に1回程度しか起こらない稀な不作について解析すると、世界全体の飢餓リスクは、2050年において平均的な気候状態と比べて温暖化対策なしケース、温暖化対策を最大限行い全球平均気温を2℃以下に抑えたケースそれぞれで20-36%、11-33%程度増加する可能性があることがわかりました。南アジアなどの所得が低く、気候変化に脆弱な地域では、上記のような影響に備えるために必要な食料備蓄量は、現在の食料備蓄の3倍にも上ります。本研究は今後の温室効果ガス削減の重要性を再確認するとともに、温暖化してしまった時に備える適応策の重要性も示しています。

本研究成果は、2021年8月10日に、国際学術誌「Nature Food」のオンライン版に掲載されました。

図:(左)世界の飢餓リスク人口の推計、(右)2050年の頻度分布を表していて、黒はベースライン、破線は中位値を表す。色は左図と同様のシナリオを表す。
図:(左)世界の飢餓リスク人口の推計、(右)2050年の頻度分布を表していて、黒はベースライン、破線は中位値を表す。色は左図と同様のシナリオを表す。

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研究者情報
研究者名:藤森真一郎

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