2021-07-09 早稲田大学,科学技術振興機構,東北大学,愛知工業大学
ポイント
- 数理最適化手法を用い、感圧塗料法の後処理法として高精度のノイズ除去法を開発した。
- 微小な圧力変化の計測において、従来の感圧塗料計測法に比べ、半導体圧力センサーでの計測値とのずれを2パーセント以内に抑える精度の高い手法を構築することができた。
- 新たな手法は、圧力変化が小さく計測が困難であった鉄道車両や家電製品などに対し適用可能な手法となり得る。
科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業および東北大学 流体科学研究所 一般公募共同研究において、早稲田大学 理工学術院の松田 佑(まつだ ゆう) 准教授、井上 智輝(いのうえ ともき)(同 大学院創造理工学研究科 修士課程1年)、東北大学 大学院工学研究科の野々村 拓(ののむら たく) 准教授、東北大学 流体科学研究所の永井 大樹(ながい ひろき) 教授、愛知工業大学の江上 泰広(えがみ やすひろ) 教授らの研究グループは、周囲の圧力に応じて発光強度が変化する感圧塗料(Pressure-Sensitive Paint;PSP)による機器表面の圧力分布計測(PSP計測法)の後処理法として、圧力分布の再構成にスパースモデリングを用いたノイズ除去法を開発しました。航空機や鉄道車両の安全性や燃料消費率の改善を行う上で、機器表面での気体の流れ構造(圧力分布)を詳細に把握することは非常に重要です。高速で圧力変化が大きなものにしか適用できなかった測定法が、少ない変数で効率的にデータをモデリングする新たな手法により、低速で圧力変化の小さなものにも適用可能となり得ます。これにより、機器の低騒音化やエネルギー効率の向上など、人間をとりまく環境における重要な課題への取り組みに、今後大きく貢献することが期待されます。
本研究成果は、2021年7月9日(金)(東部時間)に米国物理学会(AIP)によって設立されたAIP Publishing社「Physics of Fluids」で公開されます。
本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
研究費名:JST さきがけ:JPMJPR187A
研究課題名:圧縮センシングを活用した高精度空力診断システムの構築
研究者名(所属機関名):松田 佑(早稲田大学)
研究費名:東北大学 流体科学研究所 一般公募共同研究:J20L106
研究課題名:構造化照明を用いた高精度PSP計測手法の開発
研究代表者名(所属機関名):松田 佑(早稲田大学)、永井 大樹(東北大学)
研究費名:スズキ財団 一般科学技術研究助成金
研究課題名:感圧センサーシートの開発による空力画像計測の実用化
研究代表者名(所属機関名):松田 佑(早稲田大学)
研究費名:JST CREST:JPMJCR1763
研究課題名:次世代地震計測と最先端ベイズ統計学との融合によるインテリジェント地震波動解析
研究代表者名(所属機関名):平田 直(東京大学地震研究所)
研究者名(所属機関名):野々村 拓(東北大学)
<論文タイトル>
- “Data-Driven Approach for Noise Reduction in Pressure-Sensitive Paint Data Based on Modal Expansion and Time-Series Data at Optimally Placed Points”
- DOI:10.1063/5.0049071
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>
松田 佑(マツダ ユウ)
早稲田大学 理工学術院 准教授
永井 大樹(ナガイ ヒロキ)
東北大学 流体科学研究所 教授
江上 泰広(エガミ ヤスヒロ)
愛知工業大学 機械学科 教授
<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ
<報道担当>
早稲田大学 広報室 広報課 担当(志熊・猪俣)
科学技術振興機構 広報課
東北大学 流体科学研究所 広報戦略室 担当(内村博子)
愛知工業大学 法人事務局 広報課