2021-06-08 国土地理院
全国の地殻変動概況
別紙1~7は、国土地理院が全国に展開している電子基準点等のGNSS連続観測網(GEONET)の観測結果から求めた2021年4月中旬から2021年5月中旬までの1か月間の地殻変動を表したものです。東北地方を中心に、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。また、5月1日に発生した宮城県沖の地震に伴う地殻変動が見られます。
火山周辺では、硫黄島において地殻変動が見られます。
トピックス
- GNSS観測によると、5月1日に発生した宮城県沖の地震(M6.8、最大震度5強)では、「S石巻牧浜」や「矢本」で東南東方向に1cmを超える変動が見られるなど、宮城県を中心に広い範囲で小さな地殻変動が観測されました。(別紙8)
- GNSS観測によると、2020年夏頃から紀伊半島西部・四国東部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、最近は鈍化しているように見えます。この変動は、紀伊水道周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙9)
- GNSS観測によると、2019年春頃から四国中部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動を観測しています。この変動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙10)
- GNSS観測によると、2020年夏頃から九州南部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動を観測しています。この変動は、日向灘南部のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています(*)。(別紙11)
*令和2年12月から令和3年4月の地殻変動について、九州北部で2020年夏頃から見られていたとされた、それまでの傾向とは異なる地殻変動、及びこれによって推定される日向灘北部のプレート境界深部におけるすべりは、平成28年(2016年)熊本地震直後の余効変動の影響を考慮し、解析手法を再検討した結果、ノイズレベルの範囲であることがわかりました。
- 浅間山周辺では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙12)
- 硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」では隆起が、「硫黄島2」では南向きの変動が継続しています。(別紙13)
- 西之島では、だいち2号によるSAR干渉解析結果によると、火砕丘で見られる変動以外に特段の変化は見られません。(別紙14)
- 阿蘇山周辺では、阿蘇山を取り囲む基線で、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙15)
- 桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む「垂水」-「隼人」の基線で2021年1月上旬から、わずかな伸びが見られます。「鹿児島郡山」-「鹿児島福山」の基線で2021 年1月上旬から見られたわずかな伸びは、2021年3月頃から停滞しています。桜島島内の基線の変動は2020年4月頃から停滞しています。(別紙16)
- 薩摩硫黄島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙17)
- 口永良部島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙18)
- 諏訪之瀬島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙19)
補足説明
- 全国の1年間の地殻変動(2020年5月中旬から2021年5月中旬まで、別紙20)からは、以下のような傾向が見られます。
- 東北地方を中心とした広い範囲で、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
- 硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。
- その他の地方では、プレート運動による定常的な地殻変動が見られます。
別紙一覧
別紙8 宮城県沖の地震(5月1日 M6.8)前後の観測データ (PDF形式:1.1MB)
別紙9 紀伊半島西部・四国東部の非定常的な地殻変動 (PDF形式:1.1MB)
別紙10 四国中部の非定常的な地殻変動 (PDF形式:1.5MB)
別紙11 九州地域の非定常的な地殻変動 (PDF形式:3.5MB)
別紙17 薩摩硫黄島周辺の地殻変動 (PDF形式:236KB)
別紙18 口永良部島周辺の地殻変動 (PDF形式:347KB)
別紙19 諏訪之瀬島周辺の地殻変動 (PDF形式:416KB)
別紙20 全国の地殻変動(水平)-1年間- (PDF形式:993KB)
問い合わせ先
国土交通省国土地理院
測地観測センター 地震調査官 和田 弘人
測地観測センター 地殻監視課長 仲井 博之
地理地殻活動研究センター 地理地殻活動総括研究官 黒石 裕樹