地球や月といった天体のマントルに含まれる炭素量はどのように決まったのか?

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高圧下における液体鉄-マグマ間の炭素分配実験

2021-05-25 愛媛大学

研究成果のポイント
  • これまでの研究では炭素の親鉄性は非常に高く、地球マントルに含まれる炭素の大部分は核形成後にもたらされたものと考えられていた。
  • 本研究では惑星材料物質であるコンドライト組成の試料を用いて先行研究よりも現実的な系の液体鉄―マグマ間の炭素分配を実験的に決めた。
  • 実験結果から核形成過程において、微惑星マントルには飽和に近い量の炭素が分配されることがわかった。
  • マグマの炭素溶解度は地球や月マントルで推定されている炭素量と調和的であり、地球や月のマントルに含まれる炭素量は惑星形成期における核-マントル間の分配によって決まったことが示唆された。
概要

火山ガスによって地球のマントルから表層に供給される炭素は生命の起源と進化を育む惑星表層環境の形成・維持に重要な役割を果たしています。しかしながら、地球をはじめとした岩石天体のマントルに含まれる炭素量がどのように決定されたのか、という点についてはいまだに良く理解されていませんでした。
本研究では惑星の材料物質と考えられているコンドライトと似た組成の試料を用いた高圧実験を行い、分化した液体金属核と溶融マントルを持つ微惑星環境を再現し、マントルに分配される炭素量の見積もりを行いました。その結果、溶融マントルには飽和に近い量の炭素が分配されることを明らかにしました。さらに、マグマの炭素溶解度は地球や月といった天体のマントルで推定されている炭素量と良く一致し、地球や月のマントルに含まれる炭素量を説明するうえで核形成後に炭素に富む天体を降着させる必要がないことを明らかにしました。

詳しい資料は≫

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1702地球物理及び地球化学
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