2021-03-22 京都大学
深畑幸俊 防災研究所准教授は、筑波大学、海洋研究開発機構の研究者と共同で、地上で観測された地震波形データから、地震時の断層形状と破壊過程を同時に推定する新しい地震破壊過程解析手法を開発しています。本研究では、この解析手法を2018年にアラスカ湾の海洋プレート内で発生したマグニチュード(M)7.9の巨大地震に適用した結果、断層すべりが間欠的に加速・減速する様子を捉えることに成功しました。
断層すべりは、主に海洋底に発達する複数の破砕帯近傍で起きていましたが、スムーズに破壊が伝播することなく、加速と減速を繰り返していました。破壊の伝播方向が時間によって変化していく様子も、解析結果から判明しました。これらの奇妙な破壊伝播様式は、海洋底に発達する破砕帯や断層の不連続性が、スムーズな破壊進行を妨げた可能性を示唆しています。
本研究により、2018年アラスカ湾地震の破壊過程は、間欠的な加速と減速を繰り返す、従来の想像をはるかに超える複雑性を持つことが分かりました。今後、アラスカ湾のみならず、他の地域の海洋プレート内で発生した地震にも本手法を適用することで、地震破壊の隠された複雑性や海洋底の構造と地震破壊のさらなる関係が明らかになることが期待されます。
本研究成果は、2021年3月16日に、国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。
図:本研究対象地域の概略図(上段パネル)と解析結果(下段パネル)
研究者情報
研究者名:深畑幸俊