８Ｋ内視鏡カメラの映像を５Ｇを含むネットワークで送受信し、がんの遠隔手術支援システムの実現をめざす技術実証実験を実施

2021-03-19

５Ｇ×「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システム」による医療分野での利活用実証

５Ｇ×「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システム」による医療分野での利活用実証

2021-03-19 ＮＨＫエンジニアリングシステム,映像配信高度化機構,株式会社三菱総合研究所,富士通株式会社

一般財団法人ＮＨＫエンジニアリングシステム（注1、以下ＮＨＫエンジニアリングシステム）、株式会社三菱総合研究所（注2、以下三菱総合研究所）、富士通株式会社（注3、以下富士通）は、一般社団法人映像配信高度化機構（注4、以下映像配信高度化機構）と株式会社ＮＴＴドコモ（注5、以下ＮＴＴドコモ）と連携し、８Ｋ内視鏡カメラであらかじめ撮影した手術中の８Ｋ映像を、「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システム」を活用し、第５世代移動通信システム（以下５Ｇ）経由で遠隔地に伝送する技術実証実験を、令和3年3月17日（水曜日）と18日（木曜日）に実施しました。

本実証実験は、総務省の実証事業「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システムの産業横断的な活用に向けた調査研究」の一環として実施し、実証実験の結果、許容範囲内の遅延で高画質のまま８Ｋ映像を送受信できることが確認されました。

背景

８Ｋ内視鏡カメラを使ってがん手術を行う執刀医に対して、遠隔地にいる熟練の専門医が伝送されてくる８Ｋ内視鏡映像を見ながら適切な指示指導を行うことで、熟練医師のいない地域でも質の高い医療提供が可能になると期待されています。遠隔での手術を実現するためには、超高画質ながら大容量の８Ｋ映像を、無線も含むネットワークで可能な限り遅延を抑え、高画質のままで送受信することが重要です。

実証概要

今回は、ＮＨＫエンジニアリングシステムが中心となって開発中の８Ｋ内視鏡カメラと、オリンパス（株）が開発した８Ｋ腹腔鏡を用いてあらかじめ撮影した手術中の８Ｋ映像を、ＮＴＴドコモの５Ｇを含むネットワークを使って、映像配信高度化機構が開発中の「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システム」に蓄積しつつ、新宿区の「ドコモ５Ｇオープンラボ® Ｙｏｔｓｕｙａ（注6 ８Ｋ内視鏡手術施設／想定）」から、渋谷区の「スクランブルホール（専門医待機施設／想定）」に配信しました。さらに、「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システム」に、８Ｋ手術映像や動物実験で撮影された腹腔鏡内の８Ｋ映像（注7）等をデータベースとして登録し、事前の症例研究や研修などに利用できるように、５Ｇネットワークに接続された複数端末に配信することで、どの程度の遅延や画質の劣化などが生じるか、データを集めながら実証実験を行いました。

各社・機関の役割

一般財団法人ＮＨＫエンジニアリングシステム：８Ｋ内視鏡カメラ映像の提供、遠隔手術支援システムの供出、技術支援。
映像配信高度化機構：「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システム」の供出。実証取りまとめ。
三菱総合研究所：実証事業の請負、取りまとめ。
ＮＴＴドコモ：５Ｇを含む回線の手配、供出。５Ｇ実験施設の供出。技術支援。
富士通：「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システム」の開発支援、運用、システム設計、技術支援。

実証結果

2日間の実証実験の結果、８Ｋ内視鏡カメラの映像を、８Ｋの高画質を保ったまま、最小限の遅延で問題なく、５Ｇネットワークを使って遠隔地に配信できることが確認されました。また、「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システム」にデータベースとして登録し、５Ｇネットワークで複数端末に同時に高画質のまま配信することもできました。

今後

今後は、今回の技術実証実験を踏まえて、５Ｇネットワークを活用した「４Ｋ８Ｋ高度映像配信システム」の課題検証を行い、医療分野等における産業横断的な利活用を目指し取り組んでいきます。

注釈

注1
一般財団法人ＮＨＫエンジニアリングシステム：
本社東京都世田谷区、理事長山本真

注2
株式会社三菱総合研究所：
本社東京都千代田区、代表取締役社長森崎孝

注3
富士通株式会社：
本社東京都港区、代表取締役社長時田隆仁

注4
一般社団法人映像配信高度化機構：
事務局東京都港区、理事長中村伊知哉ｉＵ大学長

注5
株式会社ＮＴＴドコモ：
本社東京都千代田区、代表取締役社長井伊基之

注6
ドコモ５Ｇオープンラボ®Ｙｏｔｓｕｙａ：
５Ｇ実験環境を提供するＮＴＴドコモの拠点。
※ドコモオープンラボは株式会社ＮＴＴドコモの登録商標。

注7
動物実験で撮影された腹腔鏡内の８Ｋ映像：
本実験では国立がん研究センター、ＮＨＫエンジニアリングシステム、オリンパス（株）及びハイズ（株）が総務省と日本医療研究開発機構（ＡＭＥＤ）の委託を受けて実施中の「８Ｋスーパーハイビジョン技術を用いた新しい遠隔手術支援型内視鏡（硬性鏡）手術システムの開発と高精細映像データの利活用に関する研究開発」の研究結果の一部を利用しています。