世界初、小型超音波センサーベースの防爆型板厚モニタリングシステムを開発

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三菱重工の防爆技術を検査・モニタリング分野に応用

2021-01-27 三菱重工業

◆ 世界最小・最薄の超音波探触子により、爆発性雰囲気となり得る状況下でのモニタリングが可能
◆ 配管断熱材下、狭隘部での配管や容器の板厚検査およびモニタリングに貢献
◆ 危険場所や高所配管に常設することで板厚検査作業を合理化、安全性向上

三菱重工業は、原子力発電所向けに開発・採用実績があり、断熱材の下や配管エルボ(曲がり継ぎ手)などの狭隘・湾曲空間にも設置が容易な薄膜UTセンサー(注1)の技術をベースに、爆発性雰囲気(注2)となり得る状況下でも使用できる画期的な防爆型の超音波式板厚モニタリングシステムを開発しました。薄膜の防爆型センサーは世界初の製品であり、低電圧の微弱信号で高SN比(注3)を得る超音波技術により実現したものです。現在、三菱ケミカル株式会社で超音波式板厚モニタリングシステムを試験運用中で、実用化に向けた製品設計を経て2022年度中の製品化と販売開始を目指します。

超音波式板厚モニタリングシステムは、配管や容器の板厚計測が可能な超音波探触子と、内部の傷や長さ・形状などを調べる超音波探傷器から構成されています。超音波探触子は、引火性ガスが常時存在する雰囲気でも設置でき、構造物に接着剤などで固定するため同一部位の板厚変化を正確に計測することが可能です。また、温度変化に伴う超音波の音速変化に対する補正機能を有しており、高温環境においても高い計測精度を実現しています。一方の超音波探傷器は、取得したデータをパソコンなどに無線送信できる電波送信器としての機能も有しているため、危険場所に設置されている機器の板厚を遠隔監視することが可能となります。2021年度には、工場電気設備防爆指針(注4)「Ex2018」に準拠したZone 0(爆発性雰囲気が連続または長時間存在する可能性がある場所)における本質安全防爆構造の認定取得を見据えています。

このシステムにより、引火性物質を取扱う容器や配管などの保全を大幅に高度化することが容易になります。また、当社が原子力発電プラント事故収束支援活動などで成果を挙げたロボット技術をベースに実用化に取り組んでいる防爆型プラント巡回点検ロボット”EX ROVR(エクス ローバー)”との併用により、石油、石油化学プラントなどの安全確保も大幅な高度化が期待できます。
三菱重工は防爆技術を活用した新たなソリューション提案を通じ、危険場所における検査・モニタリング作業の合理化と安全性向上に貢献していきます。

  • 1UTは「Ultrasonic Testing:超音波探傷試験」の略。薄膜UTセンサーは一般的なUTセンサーと比べて薄くて柔軟性があり、高温となる環境下でも連続使用が可能です。
  • 2可燃性ガス(空気中で燃えるガス)が爆発しうる大気状況。
  • 3SN比は「Signal to Noise ratio」のことで、雑音に対する入力信号の比率を意味します。
  • 4厚生労働省所管の独立行政法人労働者健康安全機構に設置された労働安全衛生総合研究所が定める、国際規格に整合した技術指針です。


Tags: 防爆,EX ROVR

担当窓口:原子力セグメント

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