世界最高レベルの生産効率で11月から稼働開始、段階的に生産規模を拡大
2020-11-04 三菱重工
◆ 三菱重工航空エンジン(MHIAEL)の新たな生産拠点として、短・中距離旅客機向けエンジンの燃焼器を製造
◆ 三菱重工のものづくりの歴史を継承する工場として、長崎地区の活性化にも貢献
PW1100G-JMエンジン
三菱重工業はこのほど、長崎造船所の敷地内に航空エンジン部品の製造を手掛ける新工場を建設しました。航空エンジン事業を手掛ける三菱重工航空エンジン株式会社(MHIAEL、社長:島内 克幸、本社:愛知県小牧市)の長崎工場として2020年11月から稼働を開始し、段階的に生産規模を拡大していきます。主に短・中距離旅客機用のエンジン部品を製造し、コロナ禍からの回復後は再成長が期待される航空エンジン事業の新拠点として拡充していく予定です。
この新工場は、「過去から現在そして未来へ」とつながる当社のものづくりの歴史を継承する工場として地区再開発の一翼を担います。11月4日に現地で開かれたオープニングセレモニーには、来賓として米田 健三九州経済産業局長や中村 法道長崎県知事、田上 富久長崎市長が出席、当社グループからは椎葉 邦男シニアフェロー長崎造船所長らが出席し、ともに新工場の完成を祝いました。
世界遺産に登録されている長崎造船所史料館(旧木型場)に隣接した旧推進器工場(船舶用プロペラ工場)の跡地に完成した新工場には、燃焼器部品の素材受け入れから加工、組立まで一貫して手掛けられる生産ラインを構築します。加工難度が極めて高い航空エンジン部品を生産するため、最新鋭の工作機械や自動搬送・自動工具交換システムなどの自動化・省人化技術を導入し、MHIAEL本社マザー工場で培ったIoT(モノのインターネット)/AI(人工知能)技術なども積極的に活用することにより、航空エンジン部品工場としては世界最高レベルの生産性・高効率を実現します。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により国境封鎖や移動制限が行われた結果、航空業界全体の需要は急激に落ち込みましたが、国内線で多く利用される短・中距離旅客機の需要は比較的早い回復が見込まれています。長崎工場で生産するエアバスA320neo搭載PW1100G-JMエンジンの燃焼器については、オーバーホール時の交換需要もあり、コロナ禍前後で生産計画に大きな変動はなく、今後も増産基調が予想されていることから、最新鋭の工場を計画通りに稼働させることで内製力とコスト競争力を強化するとともに、業界のニーズに的確に応えられる体制を整えていきます。
当社グループはコロナ禍にありながらも世界の民間航空機用エンジンの長期的な需要増を見据え、事業拡大と生産体制整備を進めており、今回の新工場建設プロジェクトも、こうした取り組みの一環です。また、航空エンジンのMRO(Maintenance,Repair & Overhaul:修理・整備)事業拡大にも取り組んでおり、愛知県のMHIAEL本社工場では、新規MRO事業立ち上げに向けて着々と体制を整えています。
三菱重工は今後も、MHIAELと緊密に連携しながら航空エンジンの開発・製造・アフターサービスにおいて、技術力・信頼性の向上、ならびに生産能力の拡充に努め、日本における航空機産業の発展に貢献していきます。
MHIAEL 長崎工場外観およびオープニングセレモニーの様子
担当窓口:エナジードメイン、三菱重工航空エンジン株式会社