光子の量子もつれ状態検証の、著しい効率化に成功 ~量子センシング、量子通信装置の長距離化に貢献~

ad

2020-10-29 京都大学,科学技術振興機構

電子や光子などの量子は、通常の物体とは異なった振る舞いをします。その量子の個々の振る舞いや相関(量子もつれ)を制御することで、飛躍的な計算能力を実現する量子コンピューターや、盗聴不可能な暗号を実現する量子暗号、さらに、従来の計測技術の限界を超える量子センシングなど、「量子技術」の研究が精力的に進められています。その中でも、光子は、長距離伝送が可能で、また室温でも量子状態が保存されるため、有力な担体です。

今回、京都大学 大学院工学研究科 竹内 繁樹 教授、岡本 亮 同准教授、清原 孝行 同博士課程学生(研究当時)、山城 直毅 同修士課程学生(研究当時)、荒木 裕貴 同学部学生(研究当時)らの研究グループは、広島大学 Holger F. Hofmann 教授らの研究グループと共同で、光子の量子もつれ状態を、従来に比べて著しく高い効率で検証する方法の実証に、構築した6つの光子間量子ゲートを含む光量子回路を用いて成功しました。今回実現した方法は、光子の量子もつれ状態が大規模化しても高い効率を保てることから、光量子コンピューターや、量子暗号の長距離化、また光量子センシングなどにブレークスルーをもたらすものです。

本成果は、2020年10月29日に米国の国際学術誌「Optica」にオンライン掲載されました。

本研究は、主に科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「大強度広帯域周波数もつれ状態の実現と応用」(研究代表者:竹内 繁樹)による支援の他、一部科学研究費などの支援を受け、広島大学と共同で実施しました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Direct and efficient verification of entanglement between two multimode–multiphoton systems”
(2つの多モード多光子システム間の量子もつれの直接的かつ効率的な検証)
DOI:10.1364/OPTICA.397943
<お問い合わせ先>

竹内 繁樹(タケウチ シゲキ)
京都大学 大学院工学研究科 教授

<JST事業に関すること>

嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>

京都大学 総務部広報課 国際広報室
科学技術振興機構 広報課

ad

1601コンピュータ工学1700応用理学一般
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました