2020-08-04 京都大学
平出翔太郎 工学研究科助教、坂中勇太 同博士課程学生、宮原稔 同教授、上代洋 日本製鉄株式会社主幹研究員、河口彰吾 高輝度光科学研究センター主幹研究員、田中秀樹 信州大学教授らの研究グループは、従来の吸着剤とは異なる新材料(ゲート型吸着剤)を活用した二酸化炭素の高効率分離システムを提案しました。
二酸化炭素(CO2)は地球温暖化をもたらす温室効果ガスであり、パリ協定(2015年)では、大気中へのCO2排出量を削減することによって、平均気温の上昇を2 ℃以下とする目標が定められています。この目標を達成するためには、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの利用に加え、CO2排出源においてCO2を高効率・低コストで分離回収することが必要不可欠となります。
そこで、本研究グループは、自身が吸熱的に構造変形することでCO2を取り込む際の熱発生を抑えることが可能なゲート型吸着剤に着目し、その優れたCO2分離性能を明らかとしました。同時に、このゲート型吸着剤の特性を活かした高速度吸着分離システムを考案し、そのCO2分離効率が従来方式と比較して極めて高くなることを見出しました。
本研究は、ゲート型吸着剤がCO2の吸着分離回収システムの高効率化・省エネルギー化に有用であることを初めて明らかとしたものであり、さらに高性能なゲート型吸着剤の探索・開発のための大きな追い風となることが期待されます。
本研究成果は、2020年8月3日に、国際学術誌「Nature Communications」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究のイメージ図
書誌情報
日刊工業新聞(8月4日 15面)に掲載されました。