植物のストレスをスマートフォンに知らせるナノセンサー

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(Nanosensor can alert a smartphone when plants are stressed)

2020/4/15 マサチューセッツ工科大学(MIT)

・ MIT が、傷、感染や光による損傷等のストレスに対する植物の反応を綿密に追跡する、カーボンナノチューブ(CNTs)製のオプティカルナノセンサーを開発。
・ 植物の葉に埋め込める同ナノセンサーは、植物がストレスを受けることで放出する過酸化水素による信号でストレスの種類や植物種を区別する。このストレス信号は、葉の細胞を刺激して傷の修復や害虫の回避を助ける化合物を生じさせる。
・ 同ナノセンサーは、特定のストレスに対する生きた植物の反応のリアルタイム観察を初めて可能にするもの。あらゆる植物での使用が可能で、様々なストレスへの反応を調査することで、農作物の収率向上に向けた新戦略の開発が期待できる。
・ 同技術を開発する MIT の研究室では、ナノ材料を植物に統合することで発光や水不足の検出等の新たな機能を付与した「ナノバイオニック・プランツ」の可能性を過去数年にわたり探求。今回の研究では、植物の健康状態を報告するセンサーに注視した。
・ 同研究室では、過酸化水素をはじめとする様々な分子を検出する CNT センサーを過去に開発している。約 1 年前にこれらのセンサーをシロイヌナズナで試験した結果、植物は情報伝達物質として過酸化水素を利用することがわかったが、その明確な役割は不明であった。
・ 同研究室が数年前に開発した脂質変換外皮浸透(lipid exchange envelope peneration: LEEP)と呼ばれる手法により、同ナノセンサーを植物の葉に統合。同手法は、植物の細胞膜に浸透するナノ粒子を設計する。同ナノセンサーを植物に統合する際に偶然できた傷により、過酸化水素の信号発生を発見した。
・ 傷の付いた部分から過酸化水素が放出されると、近隣の細胞内でのカルシウムの放出を引き起こし、これが過酸化水素の放出をさらに促進。細胞が過酸化水素を受けて伝搬することで発生する波のような効果が、人間の脳のニューロンが電気的刺激を伝達するように植物の葉全体に行き渡る。
・ 過酸化水素のこの大量放出により、植物の細胞はフラボノイドやカロテノイドのような二次代謝物が産生され、傷の修復や害虫の回避を助ける。食用植物で好まれる香味源であるこれらの二次代謝物は、ストレス下でのみ作られる。
・ イチゴ、ホウレンソウ、キバナスズシロ、レタス、ミズガラシ、カタバミで同ナノセンサーを試験し、経時的な過酸化水素濃度のマッピングによる波形がそれぞれの植物で異なることを確認。これらの波形は各植物の様々な情報を含んでおり、特定の植物が受けた特定のストレスを知ることができる。同ナノセンサーによる近赤外蛍光は、ラズベリーPi に接続した小型の赤外線カメラで画像化できる。
・ 同技術のアプリケーションは、各植物の機械的な損傷、光、熱等のストレスへの対処能力によるスクリーニングや病原体への反応の研究等。特に、高密度で成長する植物で伸長が顕著に促進される避陰反応の問題を解決したいと考える。
・ 本研究には、シンガポール国立研究財団(NRF)、シンガポール科学技術研究庁(A★STAR)および米国エネルギー省(DOE)の Computational Science Graduate Fellowship Program が資金を提供した。
URL: http://news.mit.edu/2020/cnt-nanosensor-smartphone-plant-stress-0415

<NEDO海外技術情報より>

(関連情報)

Nature Plants 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Real-time detection of wound-induced H2O2 signalling waves in plants with optical nanosensors
URL: https://www.nature.com/articles/s41477-020-0632-4

Abstract

Decoding wound signalling in plants is critical for understanding various aspects of plant sciences, from pest resistance to secondary metabolite and phytohormone biosynthesis. The plant defence responses are known to primarily involve NADPH-oxidase-mediated H2O2 and Ca2+ signalling pathways, which propagate across long distances through the plant vasculature and tissues. Using non-destructive optical nanosensors, we find that the H2O2 concentration profile post-wounding follows a logistic waveform for six plant species: lettuce (Lactuca sativa), arugula (Eruca sativa), spinach (Spinacia oleracea), strawberry blite (Blitum capitatum), sorrel (Rumex acetosa) and Arabidopsis thaliana, ranked in order of wave speed from 0.44 to 3.10 cm min−1. The H2O2 wave tracks the concomitant surface potential wave measured electrochemically. We show that the plant RbohD glutamate-receptor-like channels (GLR3.3 and GLR3.6) are all critical to the propagation of the wound-induced H2O2 wave. Our findings highlight the utility of a new type of nanosensor probe that is species-independent and capable of real-time, spatial and temporal biochemical measurements in plants.

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