数千篇の論文の知識を1枚の図に整理するAIを開発

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プロセス・構造・特性の相関関係を自動的に抽出 効率的な材料設計を支援

2018/09/26  国立研究開発法人 物質・材料研究機構,豊田工業大学シカゴ校

NIMSは豊田工業大学シカゴ校と共同で,科学技術論文から材料設計に必要なプロセス・構造・特性に関する因子とその相関関係を抽出し,整理・可視化するAIを開発しました。

概要

  1. NIMSは豊田工業大学シカゴ校と共同で,科学技術論文から材料設計に必要なプロセス・構造・特性に関する因子とその相関関係を抽出し,整理・可視化するAIを開発しました。開発したAIを使って,数千篇の科学技術論文に収録された知識を1枚の図として整理することで,設計者の知識を補助し,合理的・効率的な材料設計が可能となります。
  2. 材料の性能は複数の特性で決まり,それらの特性は構造およびその構造を制御するプロセスと関連しているため,望む性能の材料を設計するためには,対象とする特性と関連する構造やプロセスの因子とその相関関係を理解することで合理的・効率的に開発を進めることができます。現在研究が進んでいる情報科学のアプローチを物質・材料研究に利用するマテリアルズ・インフォマティクスでは,大量のデータがあれば,深層学習を利用して因子や相関関係を抽出することは可能です。しかし,実験による相当量の材料データの取得・データベース化には多くの労力がかかるため,プロセス・構造・特性・性能を関連づけた材料設計へのマテリアルズ・インフォマティクスの利用は困難でした。
  3. 本研究チームでは、材料データではなく,科学技術論文の文章データを自然言語処理※1によってコンピュータに読ませ,教師あり深層学習を適用することにより,材料設計に必要なプロセス・構造・特性に関する因子とその相関関係を抽出し,材料設計因子相関図を描画するアルゴリズムを開発しました。ユーザーが性能を規定するいくつかの特性を選ぶことで,抽出された知識を基に,特性と関連する構造,構造を制御可能なプロセスに関する因子とその相関関係を関連性の強さとともに図として表現します。例えば,鉄鋼材料に関して”強度”と”延性”を特性として選ぶことで,両特性の制御に有効であると知られている微細複合組織に関する構造・プロセス因子との相関関係が出力されます。
  4. 本研究は,自然言語処理と深層学習を積極的に材料設計へ活用した先進的な取り組みであり,関連研究をさらに推し進めることができるよう,今回開発したAIのソースコードを無償で公開します
    ※ソースコード公開のURL : https://bitbucket.org/0024takeshi/pspp_relation
  5. 本研究は,物質・材料研究機構 構造材料研究拠点の渡邊育夢主任研究員,統合型材料開発・情報基盤部門の門平卓也グループリーダーと,豊田工業大学シカゴ校の大西健史 大学院生によって行われました。
    本研究成果は,Science and Technology of Advanced Materials 誌にて2018年9月19日に掲載されました。

数千篇の論文の知識を1枚の図に整理するAIを開発


掲載論文

題目 : Relation extraction with weakly supervised learning based on process-structure-property-performance reciprocity

著者 : Takeshi Onishi, Takuya Kadohira, and Ikumu Watanabe

雑誌 : Science and Technology of Advanced Materials

掲載日時 : 2018年9月19日

DOI:10.1080/14686996.2018.1500852

1603情報システム・データ工学
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