日本発の「バイオセラミックスの再生医療用特性評価法」に関する国際規格が発行

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再生医療分野における国際市場の獲得を目指して

2018-1-30 経済産業省

再生医療ニーズの拡大に伴い、再生医療に利用されるバイオセラミックスの重要性が世界的に増加しています。今回、日本が提案した「バイオセラミックス多孔体への細胞侵入性評価法」が国際規格として発行されました。これにより、日本が技術的に強みを有する生体適合性の高いバイオセラミックス材料の適正な評価が可能となり、再生医療分野における国際市場での競争力強化が期待されます。

1.背景

超高齢社会の到来による再生医療ニーズの拡大に伴い、人工骨等の再生医療に利用されるバイオセラミックス(※)の重要性が増加しています。バイオセラミックス技術においては、日本が世界をリードしており、国際的にも信頼性を確保していくことが重要です。
しかしながら、これまでバイオセラミックスの生体適合性を試験するにあたっては、統一した公的な評価法がなく、再現性に課題がありました。また、煩雑な動物実験を要することから、規制の厳しい海外メーカーからも代替となる評価法として、新たなバイオセラミックスの生体適合性の評価方法の国際標準化が求められていました。

※「バイオセラミックス」とは、医療用途に用いるセラミックスのことで、ハイドロキシアパタイト等の生体と親和性の高い材料を使ったセラミックスの開発・製品化が進められている。

2.規格の概要とISO規格発行までの経緯

今回、発行された国際規格(ISO 19090:バイオセラミックス多孔体への細胞侵入性評価法)の主なポイントは、以下の通りです。

  • 骨再生医療に用いられるバイオセラミックス多孔体について、生体適合性の評価方法を規定した。
  • 具体的には、生体適合性を適切に評価するために、セラミックス中への細胞の入り込み易さを測定する試験方法を規定した。

本規格は、2013年4月にISO(国際標準化機構)/TC150(外科用インプラント)/SC7(再生医療機器)/WG3(骨格組織用再生医療機器)に日本から提案しました。
ISO/TC150/SC7では、日本から国際幹事を輩出し、我が国が中心となって活動しています。本規格については、約5年に亘って、物質・材料研究機構、産業技術総合研究所、国立医薬品食品衛生研究所、大学、バイオセラミックスメーカーのメンバーを中心に継続的に議論・調整を重ねてきた結果、2018年1月17日にISO/TC150/SC7では初となる国際規格が発行されました。
本規格に加え、再生軟骨の定量的な評価法についても日本から提案し、審議が行われているなど、今後も戦略的に日本が先導して国際標準化を行っていきます。

3.期待される効果

本規格の発行により、生体適合性の高い再生医療用セラミックス製品のより簡便かつ適正な評価が可能となります。これにより、再生医療分野において優れた技術を持つ日本製品の国際市場での優位性を示すことで、当該分野における国際市場での競争力強化が期待されます。また、生体適合性の高いバイオセラミックスの選択がし易くなることで、手術後の不具合率の減少や患者のQOL向上も期待されます。

※今回発行された国際規格は、経済産業省の委託事業である戦略的国際標準化加速事業(バイオセラミックスの再生医療用特性評価法に関する標準化)の成果の一部によるものです。

担当

産業技術環境局国際標準課長 藤代
担当者:川西

公表日

平成30年1月29日(月)

 

0501セラミックス及び無機化学製品
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