太陽光発電システムの水没実験を実施
―水害時のさらなる安全性確保のための指針策定目指す―
2017年12月4日
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
一般社団法人太陽光発電協会
奥地建産株式会社
NEDOと(一社)太陽光発電協会、奥地建産(株)は、太陽光発電システムのさらなる安全性確保のための実証の一環として、11月28日から12月1日の4日間、山梨県北杜市において、水害時における太陽光発電システムの感電リスク等を把握するための太陽光発電システムの水没実験を行いました。
本実験から得られた知見をもとに、太陽光発電システムの水害時における点検・撤去の安全性の確保、点検用の装備や対策の指針の策定を目指します。
写真1 水没実験に用いた太陽光発電設備 写真2 水没実験の状況(一例)
1.概要
2012年7月の固定価格買取制度(FIT)※1の導入により、太陽光発電システムの導入が増加しています。一方、台風や大雨被害といった自然災害により、太陽光発電システムが水没する事象が発生しています。太陽光発電システムの水没は絶縁性能の低下等を招き、システムへの近接や接触による感電の危険性があり、一般社団法人太陽光発電協会(略称:JPEA)は、太陽光発電システムが水害の被害を受けた場合の対処等について注意喚起※2を行っています。
NEDOとJPEA、奥地建産(株)は、太陽光発電システムの水没時のさらなる安全性確保を目的に実施しているNEDOの「太陽光発電システム効率向上・維持管理技術開発プロジェクト/安全確保のための実証」の一環として、水害時における太陽光発電システムの感電リスク等の把握を行うための太陽光発電システム水没実験を山梨県北杜市で行いました。
本実験では、水没時に太陽光発電設備による発電が継続した場合を想定し、太陽光発電設備を実際に外部の環境から閉鎖された池に水没させ、発電設備から水中への漏電状況を測定することによる水中での感電リスクの把握、および水没後の状態の測定といった定量的な調査を行いました。
本実験から得られた知見をもとに、2017年度末までに、太陽光発電システムの水害時における点検・撤去の安全性の確保、点検用の装備や対策の指針の策定を目指すとともに、引き続き、感電防止のための啓発活動を行っていきます。
- 〇実験期間:
- 2017年11月28日(火)~12月1日(金)
- 〇実験場所:
- 山梨県北杜市長坂町夏秋・塚川地区(北杜サイト太陽光発電所横の調整池)
- 〇実験概要:
- 太陽電池モジュール、接続箱、パワーコンディショナ等の太陽光発電設備を実使用に近い状態(太陽電池アレイ)に組み、これらを調整池に水没させた時の漏電状況および水没後の状態等を確認。また、この実験に先立ち、小規模での事前確認として太陽電池モジュールや接続箱等を水槽に水没させ、漏電状態を計測する実験を実施。
【用語解説】
- ※1 固定価格買取制度(FIT)
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年8月30日法律第108号)
最終改正平成28年6月3日法律第59号
※2 太陽光発電システムが水害の被害を受けた場合の対処等について注意喚起
2.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 新エネルギー部 担当:森田、保田
(一社)太陽光発電協会 担当:井上
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:髙津佐、藤本、坂本