5G×8K高度映像配信システムによる防災分野での利活用実証
2021-02-19 映像配信高度化機構,株式会社三菱総合研究所,富士通株式会社,アストロデザイン株式会社
株式会社三菱総合研究所(注1、以下 三菱総合研究所)、富士通株式会社(注2、以下 富士通)、アストロデザイン株式会社(注3、以下 アストロデザイン)は、一般社団法人映像配信高度化機構(注4、以下 映像配信高度化機構)、株式会社NTTドコモ(注5、以下 NTTドコモ)、シャープ株式会社(注6、以下 シャープ)と連携し、「4K8K高度映像配信システム」(注7)を活用し、第5世代移動通信システム「5G」経由で、8K超高精細映像を送受信する技術実証実験を、令和3年2月15日(月曜日)から17日(水曜日)に実施しました。
本実証実験は、総務省の実証事業「4K8K高度映像配信システムの産業横断的な活用に向けた調査研究」の一環として、緊急災害時の救助や避難誘導などをより正確に、かつ迅速に行う目的で実施しました。ドローン搭載の8Kカメラは、想定される被災地の、その時点の被災状況を短時間で広範囲に詳細に撮影でき、5G経由で災害対策本部や救助隊などに配信すれば、災害発生時の課題解決に役立つものと考えています。
背景
昨今、日本においては、地震や津波、河川の氾濫、土砂崩れなどが頻発する中、緊急災害時に被災地の状況を詳細に把握し、救助や避難誘導などに役立てるため「SIP4D(府省庁 連携防災情報共有システム)」などの取り組みが始まっています。しかし、防災ヘリやドローンによる被災状況の撮影映像はハイビジョン(2K)画質が一般的となっています。
他方、普及が進む5Gは、大容量の8K映像をリアルタイムで送受信できます。そこで、映像配信高度化機構が開発中の「4K8K高度映像配信システム」を利活用し、8Kカメラ搭載のドローンなどで撮影した高精細映像を、5Gを使って、ほぼリアルタイムに伝送すれば2Kよりも16倍も高精細な8K映像(言い換えると、2K画質であれば一度に16倍も広域の被災エリアを撮影できること)で、被災状況をより正確に広範囲に把握できるため、被災者の救出や避難誘導、被害軽減などに役立つものと期待されています。
実証概要
今回は、仙台市の「近未来技術実証ワンストップセンター(注8)」の協力のもと、東日本大震災の被災地の荒浜地区や作並地区などを1月にドローンで撮影した8K映像(被災地想定)を、京都府の「けいはんなロボット技術センター(注9 被災現場想定)内の実験施設で、ドローンよりNTTドコモの5Gでアップリンク伝送し、神奈川県にある「4K8K高度映像配信システム」を経由して、東京都の「ドコモ5Gオープンラボ®Yotsuya(注10 災害対策本部想定)」にダウンリンク配信し、大型の8Kディスプレーに上映して画質の劣化や遅延等について検証しました。さらに、将来的に現場の救助隊などが持つタブレットを想定したモニター(救助隊想定)には、広域な8K映像の一部(救助隊が見たいエリア)を切り出して表示しました。
各社・機関の役割
- 映像配信高度化機構:「4K8K高度映像配信システム」の供出。実証取りまとめ。
- 三菱総合研究所:実証事業の請負、取りまとめ。
- NTTドコモ:5Gを含む回線の手配、供出。5G実験施設の供出。技術支援。
- 富士通:「4K8K高度映像配信システム」の開発支援、運用、システム設計、技術支援。
- シャープ:ドローン搭載8Kカメラと5G送受信機の開発、供出、映像撮影、5G配信。
- アストロデザイン:8K映像の切り出しシステムの開発、供出。
実証結果
3日間の実証実験の結果、想定される被災地域の8K映像を、「4K8K高度映像配信システム」経由で、5Gを含むネットワークを使って、想定上の災害対策本部や救助隊など複数拠点に、回線の込み具合により多少の遅延時間はあったものの高画質のまま伝送できました。被災地の状況を広範囲に8K高精細映像で把握できることが確認されました。
今後
今回の技術実証を踏まえて、「ドローン」や「5G」ネットワークを活用した「4K8K高度映像配信システム」の課題検証を進め、防災分野等産業横断的に利活用できるように取り組んでいきます。近い将来、5Gが全国に整備されれば、日本中どこでも、被災地域の高精細な8K映像を5Gで伝送することで、救助や避難誘導などに貢献できる日がやってくるものと考えています。
注釈
注1
株式会社三菱総合研究所:
本社 東京都千代田区、代表取締役社長 森崎孝
注2
富士通株式会社:
本社 東京都港区、代表取締役社長 時田隆仁
注3
アストロデザイン株式会社:
本社 東京都大田区、代表取締役社長 鈴木茂昭
注4
一般社団法人映像配信高度化機構:
事務局 東京都港区、理事長 中村伊知哉iU大学長
注5
株式会社NTTドコモ:
本社 東京都千代田区、代表取締役社長 井伊基之
注6
シャープ株式会社:
本社 大阪府堺市、代表取締役社長執行役員兼COO:野村勝明
注7
4K8K高度映像配信システム:
映像配信高度化機構が開発中のシステム。4K8K等の高精細映像とサラウンド音響などを通常のインターネット回線を使って、ライヴ、ストリーミング、ダウンロード、いずれでも送受信できる。
注8
近未来技術実証ワンストップセンター:
AI・IoT、自動走行、ドローンなどの近未来技術の実証実験を促進するため、必要な手続に関する電話・窓口相談の受付、関係機関や実証実験のフィールドとなる土地や施設の管理者などとの調整などを行い、民間企業等による実証実験の円滑な実施を支援する仙台市の事業。
注9
けいはんなロボット技術センター:
次世代ロボット等の開発・実証のため、共同利用できる京都府の新拠点。ドローンが飛行でき、かつ5G送受信環境が整う数少ない施設。
注10
ドコモ5Gオープンラボ®Yotsuya:
5G実験環境を提供するNTTドコモの拠点。
※ドコモオープンラボは株式会社NTTドコモの登録商標。
添付資料
参考資料 (1.0MB)
本件に関するお問い合わせ
一般社団法人 映像配信高度化機構
事務局 吉沢 章、高橋永央
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