食品ロスを回避する新センサー (New sensor could help prevent food waste)

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2020/3/18  マサチューセッツ工科大学(MIT)

食品ロスを回避する新センサー (New sensor could help prevent food waste)

・ MIT が、15ppb の低濃度のエチレンガスを検出する微細なカーボンナノチューブ(CNT)センサーを開発。
・ 成長や熟成を促進させるホルモンであるエチレンガスを放出する果物や植物を、それらの出荷や貯蔵時にモニタリングして無駄な廃棄を回避する。エチレンはまた、プラスチックや衣類等の製造に利用される世界で最も広く製造されている有機化合物。同センサーは、このような産業用エチレンのモニタリングにも有用となる。
・ ストレス下で余剰にエチレンを放出する農産物や草花では、熟成や萎れる時期が早まる。米国農務省によると、米国のスーパーマーケットでは、これにより果物や野菜の約 12%を損失している。
・ 同大学研究チームでは、数万個の CNT のアレイをもつエチレンセンサーを 2012 年に開発している。CNT の筒形状に沿って電子が流れるが、添加した銅原子にエチレンが結合することでその速度をさらに遅らせ、この遅れを計測することでエチレンの量を特定できる。ただし、このセンサーで測定できるエチレン濃度は 500ppb までで、銅を使用するため、酸素による腐食で作動が停止する。
・ 今回開発した CNT センサーでは、ワッカー酸化のメカニズムを応用。エチレンに直接結合する銅のような金属に代わり、酸化プロセスでエチレンに酸素を付与するパラジウムの金属触媒を採用した。
・ この酸化プロセスで同触媒が一時的に電子を獲得し、CNT にそれらを渡すことで CNT の導電性がさらに向上。この電流の変化を測定することでエチレンを検出する。同センサーは数秒でエチレンに反応し、エチレンが消失すると数分内にベースラインの導電レベルに戻る。
・ 同センサー機能の試験では、ガラス板に CNT とその他のセンサー構成要素を積層し、カーネーションと紫トルコキキョウによるエチレン放出を 5 日間にわたりモニタリング。エチレンレベルと開花状態の関連性を追跡調査した。
・ カーネーションでは、1 日目にエチレン濃度の急激なスパイクの観察後、間もなく開花。紫トルコキキョウでは、1 日目からエチレン量が徐々に増加し、4 日目まで増加継続後に減少。この経過に合致して開花には数日間がかかり、試験完了時にも未開花のものがあった。
・ また、植物栄養剤によるエチレン生成への影響を調べた結果、栄養剤を与えた植物ではエチレン生成と開花が数時間のみ遅れることがわかった。
・ 同センサー技術は特許出願済み。本研究には、米国科学財団(NSF)、米国陸軍 Engineer Researchand Development Center Environmental Quality Technology Program、カナダ・自然科学・工学研究機構(NSERC)およびサンパウロ州立研究財団(FAPESP)が資金を提供した。
URL: http://news.mit.edu/2020/ethylene-sensor-food-waste-0318

(関連情報)

ACS Central Science 掲載論文(フルテキスト)
Trace Ethylene Sensing via Wacker Oxidation
URL: https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acscentsci.0c00022

<NEDO海外技術情報より>

Abstract

Ethylene is a dynamic plant hormone, and its temporal monitoring can be used to glean insight into plant health and status. However, the real-time distributed detection of ethylene at trace levels under ambient conditions remains a challenge. We report a single-walled carbon nanotube-based chemiresistor catalyst combination that can detect ppb levels of ethylene in air. Cycling between Pd(II) and Pd(0) via Wacker oxidation with a nitrite cocatalyst imparts response discrimination driven by the chemoselectivity of the chemical transformation. Sensitivity is controlled by a combination of the chemical reaction efficiency and the n-doping strength of the Pd(0) species generated in situ. The covalent functionalization of the carbon nanotube sidewall with pyridyl ligands drastically improves the device sensitivity via enhanced n-doping. The utility of this ethylene sensor is demonstrated in the monitoring of senescence in red carnations and purple lisianthus flowers.

0501セラミックス及び無機化学製品0505化学装置及び設備
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