令和5年12月の地殻変動

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2024-01-12 国土地理院

全国の地殻変動概況

国土地理院が全国に展開している電子基準点等のGNSS連続観測網(GEONET)の観測結果から求めた、2023年11月下旬から2023年12月下旬までの1か月間の地殻変動概況は、別紙1~7のとおりです。東北地方を中心に、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
火山周辺では、硫黄島において地殻変動が見られます。

令和5年12月の地殻変動

トピックス
  • 石川県能登地方では、2020年12月頃からこの地域の地震活動とほぼ同期して地殻変動が観測されていました。2023年5月5日に発生した地震(M6.5、最大震度6強)以降は、「M珠洲笹波」で南西方向のわずかな変動及び沈降が観測されていますが、時間の経過とともに鈍化し、最近ではM6.5の地震が発生する前の傾向にほぼ戻っています。(別紙8)
  • 静岡県西部から愛知県東部では、2022年初頭からそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動は、東海周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙9)
  • 四国中部で、2019年春頃から観測されているそれまでの傾向とは異なる地殻変動は、最近は鈍化しているように見えます。この変動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙10)
  • 九州南部で、2023年初頭から観測されているそれまでの傾向とは異なる地殻変動は、すでに収束しているとみられます。この変動は、日向灘南部のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙11)
  • 浅間山では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙12)
  • 硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」で隆起が継続しています。なお、翁浜沖で発生した噴火以降、だいち2号及びLandsat-8,9の観測した衛星画像では、陸地を示す領域が11月末に比べて小さくなっているように見えます。(別紙13)
  • 西之島では、だいち2号によるSAR干渉解析結果によると、火砕丘にみられる変動以外に特段の変化は見られません。(別紙14)
  • 霧島山では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙15)
  • 桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む「鹿児島郡山」-「鹿児島福山」等の基線で2023年9月頃からわずかな伸びが見られます。桜島島内の「桜島」-「鹿児島2」等の基線で2023年10月頃からわずかな伸びが見られます。(別紙16)
  • 薩摩硫黄島では、「鹿児島三島」で2023年10月頃から西向きのわずかな変動が見られます。(別紙17)
  • 口永良部島では、顕著な地殻変動は観測されていません。なお、だいち2号によるSAR干渉解析結果によると、古岳の火口周辺数百mの範囲で衛星に近づく変動が見られていましたが、直近ではノイズレベルを超える変動は見られません。(別紙18)
  • 諏訪之瀬島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙19)
期間外
  • 令和6年能登半島地震に伴い非常に大きな地殻変動が観測されました。GNSS観測によると、電子基準点「輪島2」で南西方向に2.0m程度(暫定値)の水平変位、1.3m程度(暫定値)の隆起が見られるなど、能登半島を中心に広い範囲で地殻変動が観測されました。(別紙20-1)
  • だいち2号のSARデータの解析により、輪島市西部で最大4m程度の隆起、最大2m程度の西向きの変動、珠洲市北部で最大2m程度の隆起、最大3m程度の西向きの変動が検出されました。また、空中写真及びだいち2号のSAR画像の解析により、能登半島北岸の広い範囲で隆起により陸化した地域があることがわかりました。(別紙20-2)
  • 電子基準点で観測された地殻変動に基づき、震源断層モデルを推定しました。(別紙20-3)
補足説明
  • 全国の1年間(2022年12月下旬から2023年12月下旬まで)の地殻変動からは、以下のような傾向が見られます。(別紙21)
    ・東北地方を中心とした広い範囲で、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
    ・硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。
    ・2023年5月5日に発生した石川県能登地方の地震活動に伴う地殻変動が見られます。
    ・その他の地方では、プレート運動による定常的な地殻変動が見られます。
別紙一覧
出典

本資料を利用する際は、国土地理院コンテンツ利用規約に従ってご利用ください。 なお、利用にあたっては、出典の記載をお願いします。 (出典記載例) 「出典:国土地理院」

問い合わせ先

国土交通省国土地理院
(電子基準点等による地殻変動に関すること)
測地観測センター 地殻監視課長  芝 公成
地理地殻活動研究センター 地理地殻活動総括研究官 矢来 博司

(だいち2号観測データの解析結果に関すること)
測地部 宇宙測地課長 小門 研亮

(Landsat-8,9観測データの解析結果に関すること)
応用地理部 地理調査課長 山田 美隆

(震源断層モデルに関すること)
地理地殻活動研究センター 地殻変動研究室長 宗包 浩志

1702地球物理及び地球化学
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