2023-04-26 早稲田大学,東北大学,名古屋大学,科学技術振興機構
ポイント
- 世界で初めて物質中のアルファ線の飛跡をリアルタイムで画像化することに成功
- 新しい高分解能放射線イメージング検出器の開発により実現
- アルファ線内用療法など、今後さまざまな研究分野への応用に期待
早稲田大学 理工学術院の山本 誠一 上級研究員(研究科 教授)および片岡 淳 教授らのERATO 片岡X線ガンマ線イメージングプロジェクト(研究総括:片岡 淳 教授)は、東北大学 未来科学技術共同研究センターの吉野 将生 准教授、鎌田 圭 准教授、吉川 彰 教授、矢島 隆雅 大学院生、名古屋大学 大学院医学系研究科 総合保健学専攻の中西 恒平 助教と共同で、高分解能放射線イメージング検出器を開発し、放射線の一種であるアルファ線が物質中を飛んでいる様子(飛跡)を短時間間隔の連続画像(リアルタイム画像)として可視化することに成功しました。アルファ線は、物質中では数十マイクロメートル程度と極めて短い距離しか飛ばないことから、アルファ線の物質中の飛跡をリアルタイムで観察することは、これまで不可能と考えられていました。今回、研究チームが新しいイメージング検出器を開発し、世界で初めてイメージングを可能にしたことで、今後、アルファ線を用いた放射線治療など、さまざまな科学分野への応用が期待されます。
本研究成果は、2023年4月26日(水)(英国時間・夏時間)にネイチャー・パブリッシング・グループのオンライン総合科学誌「Scientific Reports」で公開されます。
本研究は、戦略的創造推進事業 ERATO「片岡ラインX線ガンマ線イメージング」(R3~8年度;グラント番号JPMJER2102)、科学研究費補助金 基盤研究(B)「チェレンコフ光閾値以下のエネルギーの放射線照射による水の発光現象の医療応用」(R4~8年度;グラント番号22H03019)、および科学研究費補助金 基盤研究(A)「マイクロ共晶体構造を応用した量子線弁別型超高解像度イメージング装置の開発」(R1~5年度;グラント番号19H00672)の支援を得て実施したものです。
<論文タイトル>
- “Development of an ultrahigh resolution real time alpha particle imaging system for observing the trajectories of alpha particles in a scintillator”
- DOI:10.1038/s41598-023-31748-9
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>
山本 誠一(ヤマモト セイイチ)
早稲田大学 理工学術院 理工学術院総合研究所 上級研究員(研究科 教授)
<JST事業に関すること>
加藤 豪(カトウ ゴウ)
科学技術振興機構 研究プロジェクト推進部 グリーンイノベーショングループ
<報道担当>
早稲田大学 広報室 広報課
東北大学 未来科学技術共同研究センター 広報担当
東海国立大学機構 名古屋大学 広報課
科学技術振興機構 広報課