深層学習をより簡単に、より正確にする新しいインターフェイスを開発 ~AIのバイアスによる影響をワンクリックで軽減~

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2023-03-30 北陸先端科学技術大学院大学,東京大学,科学技術振興機構

ポイント
  • ユーザー(人間)がワンクリックで画像に注釈を付け、人工知能(AI)が正しい領域に注目して判断できるようにする画期的なヒューマンインザループシステムを開発しました。
  • 本システムでは、AIが、学習する際に必要なデータセットで課題となる「共起バイアス」による影響を軽減できます。
  • 本システムにより、深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)の手法を用いた深層学習をより少ないデータでより正確に実行することが可能となり、DNNのトレーニングの時間とコストの削減につながることが期待されます。

北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)(学長・寺野 稔、石川県能美市) 創造社会デザイン研究領域の謝 浩然 講師、Yi He(カ・キ) 元研究補助員ならびに中国 吉林大学 人工知能学院のXi Yang 准教授、東京大学(総長・藤井 輝夫、東京都文京区) 大学院情報理工学系研究科のチャン・チアミン 特任講師、五十嵐 健夫 教授らの研究チームは、今回、「共起バイアス」を取り除く新たなヒューマンインザループシステムを開発しました。

これまでも深層学習の共起バイアスによる影響を取り除くため、データセットを再編成することや、AIが正確に特定の領域を認識できるよう、ユーザーが直接指示するなどの手法がありました。しかし、データセットを再編成することは非常に困難であり、また、ユーザーが画像内に直接、注目すべき領域(ROI)を指示するには、画像内にピクセル単位で注釈を付ける作業に人手が必要になり、高いコストがかかります。

そこで、本研究では、ユーザーがワンクリックで画像に注釈を付けることができるよりシンプルなアテンション誘導システムを新たに開発しました。これにより、ユーザーはワンクリックで画像内のROIを指定できるようになり、DNNによるトレーニングにかかる時間とコストを大幅に削減することができます。

本研究成果は、現地時間2023年3月27日から31日までオーストラリアのシドニーで開催の、人工知能とインタラクション技術に関する国際会議「ACM IUI 2023(28th Annual Conference on Intelligent User Interface)」で、発表されました(論文掲載日:2023年3月27日)。

本研究は、以下の事業・研究領域・研究課題の支援を受けて行われました。

科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)

研究領域
「人間と情報環境の共生インタラクション基盤技術の創出と展開」
(研究総括:間瀬 健二(名古屋大学 数理・データ科学教育研究センター 特任教授))

研究課題
「データ駆動型知的情報システムの理解・制御のためのインタラクション」
(JPMJCR17A1)

研究代表者
五十嵐 健夫(東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授)

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Efficient Human-in-the-loop System for Guiding DNNs Attention”
DOI:10.1145/3581641.3584074
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
謝 浩然(シャ コウゼン)
北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 創造社会デザイン研究領域 講師

五十嵐 健夫(イガラシ タケオ)
東京大学 大学院情報理工学系研究科 創造情報学専攻 五十嵐研究室 教授

<JST事業に関すること>
前田 さち子(マエダ サチコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 ICTグループ

<報道担当>
北陸先端科学技術大学院大学 広報室(担当:井村)
東京大学 大学院情報理工学系研究科 広報室(担当:土方)
科学技術振興機構 広報課

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