2024-01-25 九州大学
ポイント
- 脱炭素社会への転換を経済合理的に進めるために世界各国でカーボンクレジット市場の整備が進む
- 生物多様性保全と気候変動対策の双方に貢献する森林・土地利用の技術優先度が上昇している
- 森林・土地利用のプロジェクトの急増に対して、適切な監視や制度設計の構築が急務である
概要
脱炭素社会への転換を経済合理的に進めるために、日本を含む世界各国でカーボンクレジット市場の整備が進められています。カーボンクレジット市場は、CO₂排出削減量をクレジットとして認定・登録し、クレジットを売買するための市場です。この市場の整備が進むことで低コストのCO₂排出削減取り組みから順番に導入が進むことが期待できるため、社会全体として経済合理的なCO2排出削減を行うことが可能となります。
九州大学大学院経済学研究院の藤井秀道教授と大学院工学研究院の馬奈木俊介主幹教授、Queensland University of TechnologyのClevo Wilson 教授、Jeremy Webb研究員、Sagadevan Mundree教授、David Rowlings教授、Peter Grace教授は、世界各国で実施されたカーボンオフセットプログラム7185件を対象にデータ解析を行い、地域別・技術分類別にカーボンクレジットの認定・登録におけるプロジェクト選定優先度の変化を明らかにしました。解明された優先度の変化、そして地域別・技術別の相違点や共通点は、カーボンクレジット市場の効率性や信頼性を高めるための政策立案に有用な情報として活用されることが期待されます。
本研究の成果は、Elsevierが発行する国際学術誌Cleaner Environmental Systems (2022 Impact Factor: 5.0)のオンライン速報版に、2024年1月19日(現地時間)に掲載されました。
図1 本研究の分析枠組み
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論文情報
掲載誌:Cleaner Environmental Systems
タイトル:Priority change and driving factors in the voluntary carbon offset market
著者名:Hidemichi Fujii, Jeremy Webb, Sagadevan Mundree, David Rowlings, Peter Grace, Clevo Wilson, Shunsuke Managi
DOI:10.1016/j.cesys.2024.100164
研究に関するお問い合わせ先
経済学研究院 藤井 秀道 教授