大電流・大面積仕様にも応用可能なプリンテッドエレクトロニクス用の厚膜導電性インクを共同開発

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2024-01-15 物質・材料研究機構),住友金属鉱山株式会社,エヌ・イー ケムキャット株式会社,株式会社プリウェイズ

NIMSと住友金属鉱山株式会社、エヌ・イー ケムキャット株式会社、およびNIMS発ベンチャー企業の株式会社プリウェイズは、共同研究を通じて、フィルムなどの基材の上に印刷技術で電子回路やセンサーを形成する「プリンテッドエレクトロニクス」向けの厚膜導電性インクを開発しました。

概要

  1. NIMSと住友金属鉱山株式会社 (本社 : 東京都港区) 、エヌ・イー ケムキャット株式会社 (本社 : 東京都港区) 、およびNIMS発ベンチャー企業の株式会社プリウェイズ (本社 : 茨城県つくば市) は、このたび共同研究を通じて、フィルムなどの基材の上に印刷技術で電子回路やセンサーを形成する「プリンテッドエレクトロニクス」向けの厚膜導電性インクを開発しました。1月24日から開催される「第38回 ネプコンジャパン」に、住友金属鉱山とプリウェイズが、本開発品を出展いたします。
  2. プリンテッドエレクトロニクスは、金属膜から不要な部分を除去して電子回路を形成する従来の技術 (サブトラクティブ) と異なり、必要な部分にだけ電子回路を印刷して形成できる (アディティブ) ため、金属材料の使用量、環境負荷、製造コストなどの低減が期待されている技術です。また、固い基板 (リジッド基板) だけではなく柔らかいフィルム (フレキシブル基板) にも自由に電子回路を形成することができるため、次世代デバイスを実現する配線技術としても期待されています。
  3. このたびの厚膜導電性インクは、NIMSとプリウェイズが開発した金属錯体インク (金属イオンに帯電した分子を配位して安定化したインク) を元に、住友金属鉱山が持つ金属粉末の合成技術やペースト技術を生かして開発されました。本インクには、プリンテッドエレクトロニクスで要求される膜厚制御と低温焼結性を実現するために、住友金属鉱山が開発した微粒銅粉も添加されています。これにより耐熱性樹脂フィルムにも応用可能な200 °C前後での厚膜の配線形成が可能となります。
  4. さらに本インクは、一般的な導電性インクと比較して、安価かつ酸化しにくい特徴があります。また、印刷時のインクの膜厚を従来の3倍以上とすることが可能となり、資源のロスも少ないことから、大電流・大面積が必要な製品ニーズにも対応しています。現在、金属錯体の開発・製造に強みを持つエヌ・イー ケムキャットの技術を活用し、量産化技術の確立に向けた開発を行っており、今後はインクのさらなる性能向上と用途の拡大を進めていく予定です。
  5. 本研究は 、高分子・バイオ材料研究センターの三成剛生グループリーダー、李万里ポスドク研究員 (現江南大学准教授) 、若手国際研究センターの李玲穎ICYS研究員、荒井俊人独立研究者、新倉ちさと主任研究員、および住友金属鉱山株式会社、エヌ・イー ケムキャット株式会社、株式会社プリウェイズからなる研究チームによって行われました。

大電流・大面積仕様にも応用可能なプリンテッドエレクトロニクス用の厚膜導電性インクを共同開発

プレスリリース中の図 : (a) 厚膜導電性インク。(b) 厚膜導電性インクを印刷したフィルム状基材。(c) 厚膜導電性インクの元となる金属錯体インク。(d) 微粒銅紛。



掲載論文

題目 : Printing flexible Cu-Ni traces with high conductivity and high thermal stability by in-situ formed multiscale core-shell structures in inks
著者 : Wanli Li, Yitian Li, Lingying Li, Haidong Yan, Takeo Minari
雑誌 : Applied Surface Science
掲載日時 : 2023年11月22日
DOI : 10.1016/j.apsusc.2023.158967

0402電気応用
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