非共鳴マイクロ波を用いたプラズマ生成~ウクライナ・ハルキウ物理技術研を共同研究で支援~

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2023-04-06 京都大学

磁場を用いた核融合研究では、安定に信頼性良くプラズマを生成することは核融合プラズマ放電に必要不可欠です。

長﨑百伸 エネルギー理工学研究所教授、小林進二 同准教授らの研究グループは、磁場閉じ込め核融合プラズマ実験装置Heliotron Jにおいて、Yurii Kovtun ウクライナ・ハルキウ物理技術研究所研究員、Heinrich Laqua ドイツ・マックスプランク・プラズマ物理研究所研究員、Torsten Stange 同研究員と共同研究を行い、電子サイクロトロン共鳴のない条件において10kW程度の2.45GHzマイクロ波を入射し、生成されたプラズマの特性を明らかにしました。通常の密度上限を越えるプラズマには、絶縁破壊、予備電離プラズマの生成、準定常プラズマの3段階のプロセスがあること、電子密度に線形・非線形の時間発展過程があること、また、入射パワー調整により定常パワー入射より高い密度を得られることを見つけました。

本研究成果は、磁場に依らずにプラズマを生成することにつながり、今後、核融合プラズマの運転領域の拡大が期待されます。

本研究成果は、2023年2月23日に、国際学術誌「Problems of Atomic Science and Technology: Plasma Physics」にオンライン掲載されました。

非共鳴マイクロ波を用いたプラズマ生成~ウクライナ・ハルキウ物理技術研を共同研究で支援~
Heliotron Jにおける非共鳴マイクロ波を用いたプラズマ生成の模式図

研究者のコメント
「ハルキウ物理技術研究所はロシアからの攻撃を受け、Kovtun博士は住居のアパートもミサイル攻撃により破壊され、ハルキウから退避、家族は海外に脱出し、Kovtun博士一人がリビウでの滞在を余儀なくされています。その様な厳しい環境下でも共同研究を継続され、本論文の掲載に至りました。ウクライナの国際学術誌「Problems of Atomic Science and Technology: Plasma Physics」は戦争下でも発刊活動を続けており、今回の論文はKovtun博士の希望により本国の学術誌への投稿となりました。本共同研究を通し、ハルキウ物理技術研究所の研究を支援し続けてゆきたいと考えています。」(長﨑百伸)

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:長﨑 百伸
研究者名:小林 進二

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