2023-02-20 九州大学,科学技術振興機構
ポイント
- 次世代のエネルギーである「水素」の新しい利用が求められている。
- 水素と酸素を爆発の危険性がほとんどない安全な混合比率で、1つのフラスコで効率よく過酸化水素を合成する触媒の開発に成功した。
- 今回の成果を基に、今後、次世代のエネルギーである「水素」を電子源とする新たな反応開発と、このような方法で合成した「過酸化水素」のさらなる利用に期待。
九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)/大学院工学研究院の小江 誠司 主幹教授らの研究グループは、三菱ガス化学株式会社との共同研究により、水素の合成や分解を担う天然ヒドロゲナーゼ酵素の機能をヒントに新しい触媒を開発しました。今回開発した触媒を用いることで、爆発の危険性がほとんどない水素と酸素の混合比率で、1つの容器で効率的に過酸化水素を合成することができます。この触媒の性能は、これまで報告された均一系触媒で世界最高値を示します。本研究は、ヒドロゲナーゼ酵素の機能を模倣することで新たな分子触媒を開発できたという学術的な価値だけでなく、次世代のエネルギーである水素を利用した新たな合成反応の基盤となる成果となります。
本研究成果は、アメリカ学術雑誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン版で2023年2月17日(金)(日本時間)に公開されました。
本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 CREST「電子貯蔵触媒技術による新プロセスの構築」(課題番号:JPMJCT18R2)の研究の一環として、九州大学の小江 誠司 主幹教授の研究グループが、カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)(所長 ペトロス・ソフロニス)、大学院工学研究院、小分子エネルギーセンター(センター長 小江 誠司)で行ったものです。
<論文タイトル>
- “Safe, One-Pot, Homogeneous Direct Synthesis of H2O2”
- DOI:10.1021/jacs.2c13149
<お問い合わせ先>
<研究に関すること>
小江 誠司(オゴウ セイジ)
九州大学 大学院工学研究院 主幹教授
<JST事業に関すること>
嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ
<報道担当>
九州大学 広報室
科学技術振興機構 広報課