2022-06-21 アメリカ合衆国・ラトガース大学
・ ラトガース大学とハーバード大学が、病原性・腐敗微生物や輸送中の損傷から食品を保護する、植物ベースの生分解性パッケージング技術を開発。
・ 多糖類とバイオポリマーベースの繊維を使用した新しいタイプのパッケージング技術で、集中型回転ジェットスピニングプロセスによりヘアドライヤーのような加熱デバイスから糸状の材料を放出し、アボカドやステーキ等の多様な形状・サイズの食品を直接「シュリンクラップ」する。
・ 食品の保護に十分な強度を有し、大腸菌やリステリア菌のような腐敗・病原微生物に対する抗菌物質(タイムオイル、クエン酸、ナイシン)を含む。センサーのような機能をプログラムできるスマートな材料として、センサー起動によりバクテリア株を消滅させて増加する食中毒発生の懸念に対処すると共に、食品の損傷の発生を低減する。
・ 新パッケージの定量的評価の結果では、アボカドの保存期間が 50%延長。水で洗い流せて、土壌中で 3 日以内に生分解する。
・ 新パッケージング技術の開発は、化石燃料由来のプラスチック製品廃棄物の拡散による深刻な環境問題への対処を目的とする。自治体による食料品店でのレジ袋の配布の禁止の法制化のような、プラスチックの使用を低減する取り組みも効果的だが、追加的な手段の必要性を重視した。
・ 化石燃料由来のプラスチック製の食品パッケージを生分解性、無毒性でより持続可能なものに置き換えるため、食品の安全性を向上させながら保存期間を延長して食品廃棄物を低減する機能を備えた食品パッケージ設計を試みた。
・ 食品廃棄物の循環型経済の一部から派生するバイオポリマーを、食品を直接包装するスマートな繊維に転換するスケーラブルな技術を通じた、「スマート」で「グリーン」な次世代食品パッケージの一つとなる。
・ 本研究には、ハーバード・ナンヤン工科大学/シンガポール・サステナブル・ナノテクノロジー・イニシアティブが資金を提供した。
URL: https://www.rutgers.edu/news/rutgers-scientist-develops-antimicrobial-plant-based-food-wrap-designed-replace-plastic
<NEDO海外技術情報より>
関連情報
Nature Food 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Protecting foods with biopolymer fibres
URL: https://www.nature.com/articles/s43016-022-00519-6
A cost-effective, high-throughput fibre-based food packaging approach using non-toxic, biodegradable biopolymer materials offers a strategy to considerably increase food safety and security while minimizing food waste.