コンテナ船WAN HAI 316 座洲(愛知県名古屋港4B錨地、平成31年4月4日発生)

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2021-12-16 運輸安全委員会

概要

報告書番号:MI2021-12
発生年月日:2019年04月04日
事故等種類:座洲
事故等名:コンテナ船WAN HAI 316座洲
発生場所:愛知県名古屋港4B錨地  名古屋港東航路第11号灯標から真方位306°400m付近
管轄部署:事務局
船舶種類:貨物船
総トン数:10000~30000t未満

概要:
コンテナ船 WAN HAI 316は、船長ほか20人が乗り組み、水先人2人が水先業務に当たり、船首喫水約8.5m、船尾喫水約9.6mで愛知県名古屋港ポートアイランドの東方約770mの海上を右回頭中、平成31年4月4日20時59分ごろ水深約6mの名古屋港4B錨地に座洲した。

原因:
本インシデントは、夜間、本船が名古屋港東航路において四日市港に向けて南進中、新人水先研修の一環として水先人Bが指導及び評価を行いながら、水先人Aが、水先業務を行っていたところ、名古屋港西航路に向けて右回頭する目標の本件灯浮標を気付かずに通過して南進を続け、名古屋港西航路第14号灯標(以下「西14号灯標」という。)の東方沖に至った際、本船の船位が分からない状態で水先人Bに右回頭を促されて右舵15°を指示し、続けて、水先人Bが右舵一杯の指示を行ったため、本船が、右回頭しながら4B錨地に向けて航行し、同錨地に座洲したものと考えられる。
水先人Aが、本件灯浮標を気付かずに通過して南進を続けたのは、飛島ふ頭地区岸壁の南東端を通過して右回頭した際、速力が約8ノットと思っていたより早くなっており、これから更に増速していく中、次の針路目標にしていた名古屋港東航路第12号灯標に注意を向けていて、本件灯浮標を既に通過したことに気付いた後、西航路に向けて右回頭が間に合うのか否か即座に判断できなかったことによるものと考えられる。
水先人Aが、本船の船位が分からない状態で水先人Bに右回頭を促されて右舵15°を指示したのは、評価操船が中断され、水先人Bが操船の指揮権を有していると思ったことによるものと考えられる。
水先人Bが、水先人Aに対して右回頭を強く促し、続けて、右舵一杯の指示を行ったのは、本船が本件灯浮標を通過して、水先人Aが右回頭を指示しない状態で南進を続ける状況に疑問を抱いたことから、水先人Aに右回頭を促したものの、水先人Aから右回頭が指示されず、右回頭する時機を失することに焦りを感じ、西14号灯標までの距離を目測して右回頭可能と判断した可能性があるものと考えられる。
本件船長が、水先人A及び水先人Bの操船に疑問を感じたものの、自ら操船を行わなかったのは、経験豊富な水先人Bが日本語で水先人Aに指導していたこと、また、このまま東航路を南進しても問題ないこと、及び水先人Bが右舵一杯で右回頭を始めた際も、西14号灯標まで約0.4Mあることを知っていて、水先人Bが右回頭と同時に減速を始めたことから、西航路に向けて右回頭できると思ったことによるものと考えられる。
水先人Bは、水先人Aの操船に不安を感じた際、本件水先人会の研修規程に従って自ら操船し、本船の安全運航を確保すべきことを心得ていたものの、水先人A及び本件船長に対して適切な時機に、かつ、明確に評価操船の中断を伝えず、早期に自ら操船するという安全対策を実施していなかったことは、本インシデントの発生に関与した可能性があるものと考えられる。
本船において、水先人A及び水先人Bが、船橋配置の乗組員との間で、コミュニケーションを十分に取っていなかったことは、本インシデントの発生に関与したものと考えられる。

死傷者数:なし
公表年月日:2021年12月16日
報告書(PDF):公表

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