メーカー間の垣根を越えたデータ連携の取組を開始~農機のオープンAPIによる農業DXの加速化~

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2021-08-11 農研機構

ポイント

農研機構では、生産現場で農業者が使いやすいデータ連携を実現するため、農林水産省の「スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業」において、「農機API共通化コンソーシアム」を設立し、活動を開始しました。

概要

農研機構では、「農機API1)共通化コンソーシアム(図1)」を本年4月20日に設立しました。
本コンソーシアムでは、ほ場農業機械、穀物乾燥調製施設及び施設園芸機器の3分野についてワーキンググループ(以下「WG」)を設け、APIの標準的な仕様等について検討を行うほか、生産現場で農業者が使いやすいデータ連携を実現するため、有識者で構成した事業検討委員会からそれぞれのWGへ助言・指導を行うこととしています。農業DX2)の加速化に向け、農業者のデータ利用環境を向上すべく関係者一体となって取り組んでまいります。

参考

「農機API共通化」
https://www.naro.affrc.go.jp/org/brain/iam/API/index.html

関連情報

予算 : 農林水産省補助事業(スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業)

問い合わせ先

研究推進責任者 :
農研機構農業機械研究部門 所長 大谷 隆二
農研機構農業情報研究センター 所長 中川路 哲男

研究担当者 :
農研機構農業機械研究部門 機械化連携推進部 機械化連携推進
室長 杉本 光穗

広報担当者 :
同 研究推進部 研究推進室 広報チーム
チーム長 藤井 桃子

詳細情報

社会的背景

様々なスマート農業技術の実用化や現場導入が進むのに伴い、生産現場ではメーカー間の垣根を越えてデータを相互に連携、一元的に管理・分析することで、経営改善に活かしたいというニーズが高まっています。
また、規制改革推進会議においても、自機位置、作業記録等のデータを取得するトラクター、コンバイン等の農機の使用に当たり、農業者がこれらのデータを当該農機メーカー以外の作ったソフトでも利用できる仕組み(オープンAPI)の整備を令和3年度までに行う方針が示されました。
これを受け、農林水産省において、令和2年度に「農業分野におけるオープンAPI整備に向けた検討会」が開催され、農業者がメーカー間の垣根を越えて利用するデータの洗い出し、データ連携の在り方の検討などが進められ、令和3年2月に「農業分野におけるオープンAPI整備に関するガイドライン」が定められました。

事業の経緯

このような背景の下、農林水産省の「スマート農業総合推進対策事業のうち農林水産データ管理・活用基盤強化事業」では、農業データを連携・共有するための環境整備を支援し、データを活用した農業を推進することとなりました。
そこで、農研機構では、「農業情報創成・流通促進戦略に係る標準化ロードマップ」(令和2年5月官民データ活用推進基本計画実行委員会報告)、「農業分野におけるオープンAPI整備に関するガイドライン」(令和3年2月農林水産省策定)及び「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」(令和2年3月農林水産省策定)の趣旨を踏まえつつ、農業分野でのデータ連携を推進するため、農機・機器メーカー、ICTベンダー、業界団体、研究機関等からなる、「農機API共通化コンソーシアム」を本年4月20日に設立しました(図1、図2)。

事業の活動内容・特徴

本コンソーシアムでは、ほ場農業機械、穀物乾燥調製施設及び施設園芸機器の3分野についてWGを設け、各WGにおいて専門的な立場から以下の項目を実施します。

① 農業機械等から得られるデータを連携・共有するための協調データ項目の特定・拡大とデータ形式の標準化

② APIの標準的な仕様の整備と設計

③ APIの農機・機器メーカーシステム及び農業データ連携基盤(WAGRI3))への実装(図3)

④ データ連携の検証

⑤ データの利用権限等取扱いルールの策定

また、農業者、農業用ソフトウェア製造事業者、学識経験者、関係団体等からなる事業検討委員会を設け、生産現場で農業者が使いやすいデータ連携を実現するため、各WGへの助言・指導を行います。
5月21日に開催した第1回事業検討委員会では、コンソーシアム事務局(農研機構農業機械研究部門)から本事業の推進体制、具体的な推進方針及び年度末の成果目標(WAGRIへのAPI実装計画の策定等)、各WGからWGごとの特徴・論点、推進体制及び活動計画について説明がなされました(配布資料、議事概要はURLを参照)。

「農機API共通化」
https://www.naro.affrc.go.jp/org/brain/iam/API/index.html

今後の予定

本コンソーシアムでは、年度内に、先行して規格化が進む海外事例の調査や、農機APIに関するシンポジウムを開催する予定です。
今後、事業検討委員会で得られた意見やWGで検討した事項等を踏まえ、本コンソーシアム組合員が一体となって農業者が各種データを利用できる環境を整えてまいります。

用語の解説
1)API
アプリケーションプログラミングインタフェース(Application Programming Interface)の略で、ソフトウェア機能の一部をインターフェイスとして公開し、他のソフトウェアと機能を共有できるようにするものです。今回の取組では、農業者が使用している農業機械や営農管理ソフトのメーカーに縛られることなく、データを一元的に扱うことを可能とするために、APIがデータの橋渡し的な役割を果たします。
2)DX
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、デジタル技術による変革を意味します。英語圏では接頭辞「Trans」を省略する際にXと表記することが多いため、「Transformation」が「X」に代わり、「Digital Transformation」⇒「DX」と表記します。DXを推進するためには「使いたい時に、使えるデータが、使える状態にある」ことが重要です。
3)WAGRI
WAGRIとは、WA(和)+AGRI(農業)の造語です。農業者へサービスを提供するICTベンダーや農機メーカーに対して、APIを通じてデータやプログラムの処理結果を提供し、また、事業者間でのデータ共有やシステム連携を可能とするプラットフォームの役割を担います。
(https://www.naro.go.jp/laboratory/rcait/introduction/chart/08/index.htmlhttps://wagri.net)
参考図

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図1 農機API共通化コンソーシアムの実施体制

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図2 参画機関

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図3 オープンAPIの利用イメージ

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