(NUS engineers devise novel approach to wirelessly power multiple wearable devices using a single source)
2021-06-11 シンガポール国立大学(NUS)
・ NUS が、人体を媒体として利用して 1 個の電源から複数のウェアラブルデバイスにワイヤレスに電力を伝送するシステムを開発。
・ スマートウォッチやワイヤレスイヤホン、ウェアラブルインジェクター(自己注射器)、心電図(ECG)モニタリングパッチや補聴器等のウェアラブルデバイスの日常生活への普及が進み、生活、労働や健康管理のあり方を作り変えているが、デバイスの増加に伴って電池の数も増加している。
・ 新システムでは、衣類のポケットに入れた携帯電話等の単一デバイスを電源とし、装着したウェアラブルデバイスに身体を通じてワイヤレス給電する。また、家庭やオフィスの電子機器で使用されていない環境エネルギーも収集する。
・ 従来の近傍界送電方法は、伝送可能距離、障害物を回避したエネルギーの移動経路とその安定性に制限があり、装着したウェアラブルデバイスへの持続的な電力伝送の実現を困難にしている。
・ 本研究では、ワイヤレス給電において実際に障害物となっている人体を送電とエネルギーハーベスティングの媒体として利用するレシーバとトランスミッタのシステムを設計。各レシーバとトランスミッタには、身体の広い範囲を網羅するスプリングボードとして利用されるチップが搭載される。
・ 複数のレシーバを身体の任意の場所に配置し、スマートウォッチのような単一の電源の上にトランスミッタを配置すると、人体通信(body-coupled power transmission)と呼ばれるプロセスを通じ、装着した全ウェアラブルデバイスに同時に給電する。同システムの実験では、フル充電した単一電源から最大 10 個のデバイスへの 10 時間超にわたる給電を確認した。
・ 同システムではまた、補完的な電源として環境エネルギーを収集。作動中のパソコン等からの電磁波(EM)をレシーバが集め、人体通信を通じてウェアラブルデバイスに給電する。
・ 新システムは、ウェアラブルデバイスで最も高価で嵩張る構成要素の電池の利用を不要にする可能性を提供し、生産コストの大幅な低減やデバイスサイズの縮減に寄与する。電池による制限を取り除くことで、ECG パッチやゲーム用アクセサリ、遠隔医療診断等の次世代のウェアラブルアプリケーション開発が可能となる。
・ 同システムのエネルギー効率をさらに向上させ、装着した全ウェアラブルデバイスのネットワーク電力需要を単一デバイスで満たして電池の長寿命化を目指す。
URL: https://news.nus.edu.sg/nus-engineers-devise-novel-approach-to-wirelessly-power-multiple-wearable-devices-using-a-single-source/
<NEDO海外技術情報より>
(関連情報)
Nature Electronics 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Body-coupled power transmission and energy harvesting
URL: https://www.nature.com/articles/s41928-021-00592-y
Abstract
Wireless power transmission and energy harvesting techniques could be used to power and operate devices in, on and around the human body. However, near-field power transmission approaches are limited by distance, and the efficiency of far-field radiofrequency methods is limited by the body shadowing effect. Here, we show that the body-coupling characteristics of electromagnetic waves—which are either artificially introduced or present in the immediate surroundings—can be used to enable a power transmission and energy harvesting method that offers power to locations all around the body. The body-coupled power transmission exhibits a path loss 30- to 70-dB lower than far-field radiofrequency transmission in the presence of body shadowing. The system can recover 2 µW at the head from an ~1.2-mW transmitter placed 160 cm away at the ankle. In the absence of an active power transmitter, we demonstrate placement-independent scavenging of ambient electromagnetic waves coupled onto the human body, resulting in a power recovery of ~2.2 µW from electromagnetic waves of up to −10-dBm on the body.