オリオン大星雲で探る星の誕生の秘密~星の赤ちゃんは大食漢?~

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2021-4-16 国立天文台

図:国立天文台野辺山45メートル電波望遠鏡と米国CARMA干渉計で得られた、オリオン大星雲の精密で広域の電波画像。
国立天文台野辺山45メートル電波望遠鏡と米国CARMA干渉計で得られた、オリオン大星雲の精密で広域の電波画像。星の赤ちゃん(オレンジ色の点)、将来星になると思われるコア(赤い点)、星になるかどうか不明なコア(青い点)が多数リストアップされた。(Credit: Takemura et al.) オリジナルサイズ(959KB)

オリオン大星雲の電波観測から、星の赤ちゃんの誕生について新たな過程が明らかになりました。これまで考えられていた星の誕生モデルとは大きく異なり、星の誕生の解明が一段と進んだことになります。

星は分子雲と呼ばれる冷たいガス雲で誕生します。分子雲の中には、ガスの密度が特に高く星の卵となる「分子雲コア」(以下、コア)が点在し、そのコアから星の赤ちゃんが誕生すると考えられています。誕生する星の質量はさまざまですが、どの程度の質量の星がどのような割合で誕生するかを示す「質量関数」は、天の川銀河では場所によらずほぼ同じであることが知られています。コアの質量関数も星の質量関数と同じ傾向であり、コアの質量はそのまま星の質量に結びつくと考えられてきましたが、これは限られた領域の観測から得られたモデルに過ぎませんでした。

今回の研究では、オリオン大星雲の広い領域を電波で観測することで、この真否を確かめることに挑みました。ミリ波を観測できる単一鏡としては世界最大級の国立天文台野辺山宇宙電波観測所の45メートル電波望遠鏡、米国のCARMA(カルマ)干渉計の、2つの観測データを合成し、これまでになく精密でかつ広域のオリオン大星雲の電波画像を作成することに成功しました。電波画像からはコアのような冷たいガスの分布を直接調べることができるため、オリオン大星雲に存在するコアについてのほぼ完全なカタログを得られたことになります。

このカタログを用いて、コアと星の質量関数を詳細に比較した結果、似た質量関数を示すものの、星の赤ちゃんは自身の卵であるコアよりもずっと重いことが明らかになりました。つまり、コアはそのまま星になるのではなく、より多くのガスを集めた後に星として誕生するのです。このことは、従来の考えとは大きく異なる、星の形成過程の新しい描像となります。

星の赤ちゃんがどのようにガスを集めるのか、つまり具体的な食事の様子についてはまだよく分かっていません。研究チームは今後、星が誕生する別の現場に観測対象を広げ、今回オリオン大星雲で得られた星の誕生過程が他の場所でも成り立つのかを調べる予定です。

この研究成果は、Takemura et al. “The Core Mass Function in the Orion Nebula Cluster Region: What Determines the Final Stellar Masses?”として、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に2021年3月22日付で掲載されました。

1701物理及び化学
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