スマホで簡単、麦の栽培診断を楽々ナビゲーション

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スマホ版簡易診断の導入で、麦の対策技術導入をもっと手軽に

2021-03-25 農研機構

ポイント

農研機構は、3月29日(月曜日)にスマートフォンに対応したWEBシステム「診断に基づく小麦・大麦の栽培改善技術導入支援マニュアル」に簡易診断機能などを追加して、リニューアル公開します。リニューアル版では、麦の栽培上のリスクについての簡易診断と、リスクが高いとされた項目はフローチャート式の詳細な診断と対策の閲覧ができます。手軽に利用できることから、生産現場での活用により生産性向上に役立つことが期待されます。

概要

農研機構が1年前に公開した「診断に基づく小麦・大麦の栽培改善技術導入支援マニュアル」は、小麦と大麦の栽培上のリスク診断と、そのリスクにどのような対策を取るかの判断に活用されてきました。このマニュアルはWEB上でも閲覧できますが、マニュアルを読んで自分で判断する形式であり、生産現場でも使いやすいものを、とのご要望が多くありました。この度、そのご要望にお応えして、簡易診断機能などを追加してリニューアル公開します。
新たに追加された簡易診断では、簡単な設問に回答すると、小麦と大麦の栽培上におけるリスクの高低がレーダーチャートに表示されます。さらにリスクの高いとされた項目を選択すると、フローチャート式の詳細な診断と対策がスマートフォンやタブレット、PC上で閲覧できるようになっています。本システムの活用により、小麦と大麦の栽培上のリスク診断と対策技術の選択が生産現場でも手軽にできるようになり、小麦と大麦の生産性向上が期待されます。

麦の診断楽々ナビゲーションQRコード

関連情報

予算:農林水産省委託プロジェクト研究「多収阻害要因の診断法及び対策技術の開発」

問い合わせ先

研究推進責任者 :
農研機構中央農業研究センター 所長 白川 隆

研究担当者 :
農研機構中央農業研究センター 土壌肥料研究領域 大野 智史

広報担当者 :
農研機構中央農業研究センター 広報チーム長 谷脇 浩子

詳細情報

開発の社会的背景および研究の経緯

小麦と大麦の栽培時の生育不良や減収の原因が不明な場合や、複数の問題が発生している時には、取るべき対策とその優先順位が不明と言う問題が生じていました。
そこで、農林水産省委託プロジェクト研究「多収阻害要因の診断法及び対策技術の開発(2015~2019)」では、「診断に基づく小麦・大麦の栽培改善技術導入支援マニュアル」a)を作成し、2020年3月31日に公開しました。このマニュアルは、公開後、ダウンロード等により多数のご利用をいただいています。同マニュアルは「診断に基づく栽培改善技術導入支援マニュアル」の一項目として、大豆のマニュアルと併せて掲載されていますが、これまでの診断方法はマニュアルを読んで自分で判断するものでした。一方、併せて公開されている大豆のマニュアルは簡易診断機能とフローチャート診断・対策システムを持つ、利用しやすいWEBシステムとなっており、同じ手軽さを麦用にも、とのご要望が多くありました。この度、それにお応えして、WEBシステムとして簡易診断機能などを追加した麦用マニュアルをリニューアルしました。

研究の内容・意義

1.今回のリニューアルにより、小麦と大麦の栽培を行う上での、1.排水不良・湿害、2.土壌理化学性のリスク1)、3.枯熟れ・強制登熱等2)、4.雑草害、5.その他のリスクの5項目について、リスクの高低がレーダーチャートで見られるようになり、対策の優先順位を直感的に判断し易くなりました。

2.図1に使用方法の概要を示しました。まず、WEBシステムのトップ画面の「麦類」のボタンを押すと、簡易診断画面に移動します。次に簡易診断画面で13の設問に回答して「診断」ボタンを押すと簡易診断結果が表示されます。リスクの高い項目はオレンジ色に強調表示されます。

3.リスクが高いとされた項目を選択すると、フローチャート式で先の5項目のリスクの診断と導入すべき対策技術の内容が確認できるとともに、画像による確認も可能です。フローチャート画面には、簡易診断をしないで、目次から直接、移動して閲覧することも可能で、また現在公開中のpdfファイルのダウンロード版である総合版へのリンクにより、さらに詳細な解説を読むことができます(図2)。

4.本WEBシステムは、スマートフォンで利用できるメリットを生かし、ほ場にいながら診断や対策だけでなく、その場での作業工程の確認などにも活用可能です。これらにより、全国の小麦と大麦を栽培する現場で活用していただけるようにしました。

今後の予定・期待

農林水産省では、令和3年度から「麦・大豆収益性・生産性向上プロジェクト」を実施し、麦・大豆の需要を捉えた生産拡大と収量・品質の高位安定に取組む産地に対して、団地化の推進や新たな栽培技術の導入等を一体的に支援し、産地の生産体制の強化、収益性・生産性の向上を推進することとしています。この事業においても、本マニュアルにまとめられた技術導入を推進しており、本WEBシステムも活用しながら、麦の生産性の向上に役立てていただくことを期待しています。

用語の解説
1)土壌理化学性
土壌の構造や水分保持力などの物理的な性質と養分などの化学的な性質のこと。
2)枯熟れ・強制登熟
枯熟れ(かれうれ)とは、麦が登熟期間中に茎葉が早く枯れ上がり、子実が十分に発達しない登熟障害のこと。強制登熟とは枯熟れに限らずに、登熟が強制的に進行してしまった状態のこと。
発表論文

a) http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/134377.html

参考図


図1麦用WEB診断システムの使用方法の概要


図2麦用WEB診断システムの構成

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