原子1つの沈殿を調べる! ~超重元素ラザホージウムの共沈挙動の実験的観測~

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2021-02-17 大阪大学

大阪大学大学院理学研究科化学専攻の笠松良崇講師、篠原厚教授と理化学研究所仁科加速器科学研究センター核化学研究チームの羽場宏光チームリーダーらをはじめとする大阪大学、理化学研究所、東北大学、京都大学の共同研究グループは、原子番号の大きな新元素、超重元素のひとつである104番元素ラザホージウム(Rf)の単一化学研究において、世界で初めて沈殿に関する性質を調べることに成功しました(図)。この研究は、中学校や高校の化学実験において実施する「アルミニウムの水溶液に塩基性溶液を加えて水酸化物沈殿を生成し、さらに加えるともう一度溶解する」という基礎的な化学実験を、人類にとって新しい元素に対して調べることに成功したといえる内容です。一方で、原子1つでは通常沈殿自体を形成することができないにも関わらず、共沈手法を用いることでその沈殿の性質の解明に取り組む挑戦的な研究であり、「沈殿とは一体どのような化学現象なのか?原子数に関係しない元素固有の性質なのか?」といった非常に基本的な問いを含んだ興味深い課題といえます。

超重元素は加速器を利用した核反応にて低確率でしか合成できない上に短寿命のため、1原子状態でしか扱うことができず、さらに実験を行うためには加速器オンラインの実験装置が必要なため、これまで化学研究手法が吸着や固液・液系抽出など2相関の分配比を観測する方法に限定されてきました。そのため、非常に限られた性質しか調べられておらず、その性質は大部分が未解明のままです。

今回、本研究グループは、水酸化サマリウム共沈実験法を開発し、大強度重イオン加速器を擁する理化学研究所RIビームファクトリーにて、261Rfを製造し、共沈実験を実施しました。その結果、Rfの水酸化サマリウム共沈挙動を実験的に観測することに成功し、同族元素と同様に水酸化物沈殿を形成し、アンミン錯体の錯イオンは形成しにくい傾向を観測しました。さらに、より濃い水酸化物イオン濃度では同族元素とは異なり、擬同族元素であるアクチノイドのThに近い性質を持つという興味深い挙動を明らかにしました。このような研究を進めることにより、相対論効果が強く働く超重元素に特徴的な化学的性質の解明、さらには全ての元素のより完璧な理解が期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Nature Chemistry」に、2月16日(火)午前1時(日本時間)に公開されました。

図:本研究の概念図

詳しい資料は≫

本件に関する問い合わせ先
大阪大学 大学院理学研究科
講師 笠松良崇(かさまつ よしたか)

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