太陽活動第25周期の開始を告げる極小は2019年12月

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2020-09-15 国立天文台 太陽観測科学プロジェクト

 太陽黒点の数が2019年12月に極小になり、この時を境に太陽活動の第24周期が終わり第25周期が始まりました。2020年8月までに三鷹で得られた太陽黒点の観測データでは、黒点数の13カ月移動平均値が2019年12月に最小値1.52となった後増加に転じていて、現在もその傾向が続いています。太陽活動は、活発な時期と低調な時期がかわるがわる訪れますが、ここ数年は低調な活動が続いていました。第25周期が始まったことで、今後の太陽は極大に向けて活動が年々活発になり、宇宙飛行士や人工衛星運用、無線通信に害を及ぼしうるフレアや太陽からの物質噴出 (コロナ質量放出) の発生も増えていくと予想されます。

 図1は、2000年1月から2020年8月までの黒点数 (黒点相対数) の月平均値と13カ月移動平均値の変化を表したグラフです。ここでは月平均値が黒い線で描かれていますが、この線はギザギザして滑らかではありません。これをならしたのが赤い曲線で描かれている13カ月移動平均値で、これはある月とその前後各6カ月の計13カ月分のデータに重みをつけて計算するものです。太陽活動周期の終了と新しい周期の開始は、13カ月移動平均値が最も小さくなった「極小」によって判断されます。今回確かめられた2019年12月の極小はグラフの右側にある谷底に当たります。ベルギー王立天文台にある黒点観測の中央局SILSOでも、世界各地から集めた黒点相対数のデータを解析して、私たちと同じ結果が得られています [1]

 太陽活動第24周期から第25周期への移り変わりは、出現した黒点の磁場配置でもうかがえます。図2は、2018年1月から2020年8月までに確認できた黒点群・活動領域をそれが属する活動周期で分類して月ごとに集計したグラフです。第25周期に属する黒点群・活動領域は、2018年4月から2019年7月までにもたびたび出現していましたが、2019年11月という極小に近い時期以降にその数が増えていることがわかります。

 将来の太陽活動は、どのように推移していくでしょうか? 太陽活動が低下すると周期が長くなる傾向があるとわかっています。第23周期は12年以上も継続し、第24周期の活動 (黒点数・フレア発生数) は第23周期よりも低下しました。その一方で、第24周期はちょうど11年で終わり、今後の活動が長期的に低下するとは必ずしも言い切れません。太陽活動が地球の気候変動に影響している可能性も議論されていることから、新たに始まった第25周期が実際にどうなるか注目されます。

[1] Sunspot Index and Long-term Solar Observations (SILSO), “Solar cycle minimum passed in December 2019”, posted on 21-Aug-2020.

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図1. 2000年1月から2020年8月までの黒点相対数 の月平均値と13カ月移動平均値の変化。

黒線は月平均値、赤い太線は13カ月移動平均値を表します。縦の点線は13カ月移動平均値の極小の時期を示し、その年・月をグラフの上辺に記しています。数値が小さい部分の変化を見やすくするために縦軸を対数目盛にしています。

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図2. 2018年1月から2020年8月までに確認できた黒点群・活動領域の月毎発生個数の変化。

活動領域はNOAAによって認定され番号が付けられたもの、黒点群はNOAA番号を持たないが三鷹での観測でとらえられたものを指しています。黒点群・活動領域は、磁場の配置に基づいてそれが属している活動周期が判定され、月毎に集計されています。

 

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