~日本のサービスの適切な評価と海外市場の拡大を目指して~
国際標準化機構(ISO)において、日本からの提案により、「小口保冷配送サービス」に関する国際規格を開発する新たなプロジェクト委員会の設立が承認されました。今後、日本が主導して当該国際規格の発行を目指します。
1.背景
近年、消費スタイルの変革によるネット通販をはじめ電子商取引(EC)市場の拡大に伴い、生鮮食品や加工食品を物流事業者が一般家庭等へ配送する小口保冷配送サービスの需要が世界各国で高まり、我が国物流事業者も、安全・安心なサービスを求める消費者等の期待に応え、アジア諸国の主要都市を中心に進出し始めています。他方、一部の国の事業者では、不十分な温度管理による粗悪なサービスが散見され、保冷配送サービスに対する消費者の信頼性欠如がその市場拡大を阻害することが懸念されていました。
こうした状況の中、サービスの質を適切に評価し、消費者の信頼性確保と我が国物流事業者の国際競争力を強化するため、小口保冷配送サービスの国際標準化の必要性が高まっています。
「小口保冷配送サービス」のイメージ
2.これまでの検討状況
我が国においては、平成28年3月以降、「我が国物流システムの国際標準化等の推進に関する連絡検討会」において、物流事業者・業界団体・関係省庁(国土交通省、農林水産省)が連携しながら、官民のオールジャパン体制で検討を進めてきました。
また、太平洋地域標準会議(PASC)※や、アジア地域における国際標準化活動促進を目的としてシンガポールに設置されたISO地域事務所を通じて海外標準化機関との連携を図るとともに、日ASEANの物流政策対話等の場を活用し、各国の物流関係省庁、専門家との連携を図ってきました。
加えて、昨年3月には英国規格協会(BSI)と協力覚書を締結し、サービス等新規分野での国際標準開発の協力関係を構築しました。
こうした国内外での取組の結果、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、英国等から積極的な賛同を獲得し、日本提案によって、ISOで新たな委員会(「小口保冷配送サービス」に係るプロジェクト委員会)の設立が承認されました。
※太平洋地域標準会議(PASC)は、ISO活動における環太平洋地域の連携強化等を目的とし、1972年に米国の提唱により設立されました。米国、豪州、中国、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ等、計23カ国が参加しています。
3.プロジェクト委員会の概要
当該プロジェクト委員会では、温度管理保冷配送サービスにおける輸送過程での積替えを伴う保冷荷物の陸送に係る国際標準化活動が行われます。
日本から国際議長及び幹事を輩出して国際規格開発を主導していくとともに、(一財)日本規格協会(JSA)が国内審議団体として国際標準化活動の中核を担って進めていきます。
4.今後の予定
本年6月頃に本プロジェクト委員会の第1回国際会議を日本で開催し、国際規格開発を本格的にスタートさせます。
今回の取組に加え、シェアリングエコノミーなど新たなサービス分野に関する国際標準化活動についても今後積極的に進めていきます。
※当該プロジェクト委員会の設置に係る取組は、経済産業省の委託事業である「保冷宅配便サービスに関する国際標準化」の成果の一部によるものです。
担当
産業技術環境局 国際標準課長/
サービス標準化推進室長 藤代
担当者:矢後、青山
公表日
平成30年1月23日(火)