味のデジタル化を実現し,食品生産の安定化と匠の業の伝承を目指す
2021-03-22 株式会社IHI,ヤマキ株式会社
株式会社IHI(本社:東京都江東区,社長:井手 博,以下「IHI」)とヤマキ株式会社(本社:愛媛県伊予市,社長:城戸 善浩,以下「ヤマキ」)は,匠の熟練の業を再現する品質検査装置(以下「本装置」)を共同開発し,このたび,ヤマキが原料として取り扱うかつお節の品質検査に関する実証試験を開始します。
ヤマキが取り扱うかつお節は,熟練した検査員の目利きによる入荷時の品質検査,並びに破壊検査による各種成分定量分析によって,高い品質が保たれています。しかし,熟練検査員の目利き検査は,限られた人員で検査を行うため,検査数が限定されることや,成熟した技能の伝承には長い時間がかかることが課題となっています。また,破壊検査による成分分析は,全数検査することはできないため,検査数が限定され,かつ分析に一定の時間が必要という課題があります。IHIとヤマキは,このような課題を解決するため,食材原料を定量的・客観的に評価することで,味のデジタル化を実現する本装置を2019年より共同開発してきました。
本装置は,食品に光を照射することで,生産工程において非破壊かつ非接触で連続的に品質検査するため,従来の破壊検査では困難であった全数検査が可能となり,食品の品質安定化や歩留りの改善につながります。また,熟練検査員の技能を人工知能(AI)に学習させることで,その技能が食文化とともに継承されていくことを支援します。なお,ヤマキとIHIは,共同開発した本装置ならびに技術に関して,特許を共同出願しています。
本開発は,お客さまと新たな価値共創を目指すIHIのオープンイノベーションスペースである,IHIグループ横浜ラボ「i-Base」の第一号案件として取り組んでいます。IHIは,「技術をもって社会の発展に貢献する」という経営理念のもと,社会・お客さまとともに新たな価値を創造することを目指し,美味しさを創る人たちの情熱と業が,時間と場所を越えて受け継がれていくことに貢献していきます。ヤマキは,「鰹節屋・だし屋,ヤマキ」として鰹節とだしを通じて,「おいしさ」と「健康」,そして「食文化の継承・食資源の持続性確保」に貢献してまいります。
【参考資料】
両社で共同開発した品質検査装置(試作機)
熟練した検査員による目利き
※画像はイメージです。実際の目利きでは,手袋・マスクを装着しております。
本開発の起点となったIHIグループ横浜ラボ「i-Base」
本開発は,2019年に開所した,IHIのオープンイノベーションスペースであり,お客さまと新たな価値共創を目指すIHIグループ横浜ラボ「i-Base」の第一号案件です。