ありふれた元素で高性能な窒化物半導体を開発

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安価な薄膜太陽電池開発につながる可能性

2018/06/21 東京工業大学 物質・材料研究機構

東京工業大学とNIMSの研究者らは共同で、希少元素を含まない窒化銅 (Cu3N) を使って、p型とn型の両方で高い伝導キャリア移動度を示す半導体を開発しました。

概要

東京工業大学 科学技術創成研究院の細野秀雄教授 (元素戦略研究センター長) 、元素戦略研究センターの松崎功佑特任助教、科学技術創成研究院の大場史康教授、物質理工学院の原田航大学院生 (博士後期課程1年) 、元素戦略研究センターの熊谷悠特任准教授、笹瀬雅人特任准教授らは、物質・材料研究機構 先端材料解析研究拠点の木本浩司副拠点長、越谷翔悟NIMSポスドク研究員、上田茂典主任研究員らと共同で、希少元素を含まない窒化銅 (Cu3N) を使って、p型とn型の両方で高い伝導キャリア移動度を示す半導体を開発しました。
この成果は、新たに考案した窒化物合成法と、第一原理計算に基づいた有効なキャリアドーピング法、原子分解能の電子顕微鏡による観察および放射光による電子状態解析を組み合わせることで得られました。本研究により、大面積・低コスト化に適した合成法でp型とn型の窒化銅が実現し、同一材料のp型とn型半導体を使った、希少元素を含まない薄膜太陽電池への応用が期待できます。
本研究成果は、ドイツ科学誌「アドバンスト・マテリアルズ (Advanced Materials) 」に速報としてオンライン版に6月19日付 (現地時間) で公開されました。


ありふれた元素で高性能な窒化物半導体を開発

プレスリリース中の図 : (a) NH3/O2ガスを使った銅の直接窒化法とその反応原理 (b) 第一原理計算による予測。格子の空隙にFが入るとp型半導体、Cuが入るとn型半導体 (c) Cu3N:Fの原子マッピング像 (緑 : F、赤 : N、青 : Cu) 。理論予測通りにF原子は格子の空隙に存在 (d) 直接窒化法で作製したp型、n型Cu3N薄膜の移動度とキャリア濃度



論文情報

タイトル : High-Mobility p-Type and n-Type Copper Nitride Semiconductors by Direct Nitriding Synthesis and In Silico Doping Design (和訳 : 直接窒化法および計算機中でのドーピング設計によって得られた高移動度p型およびn型窒化銅半導体)
掲載誌 : Advanced Materials (アドバンスト・マテリアルズ)
DOI: 10.1002/adma.201801968
著者 : Kosuke Matsuzaki*, Kou Harada, Yu Kumagai, Shogo Koshiya, Koji Kimoto, Shigenori Ueda, Masato Sasase, Akihiro Maeda, Tomofumi Susaki, Masaaki Kitano, Fumiyasu Oba* and Hideo Hosono (松崎 功佑*、原田 航、熊谷 悠、越谷 翔悟、木本 浩司、上田 茂典、笹瀬 雅人、前田 祥宏、須崎 友文、北野 政明、大場 史康*、細野 秀雄)



関連ファイル・リンク

本件に関するお問合せ先

(実験に関すること)
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 教授
元素戦略研究センター長
細野 秀雄 (ホソノ ヒデオ)
東京工業大学 元素戦略研究センター 特任助教
松崎 功佑 (マツザキ コウスケ)
(理論計算に関すること)
東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所/
元素戦略研究センター 教授
大場 史康 (オオバ フミヤス)
(取材申し込み先)
東京工業大学 広報・社会連携本部 広報・地域連携部門
物質・材料研究機構
経営企画部門 広報室

 

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