新型コロナウイルス肺炎の診断を支援するAI技術の共同研究開発を開始

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AI画像診断による医師の負担軽減を目指して

2020-09-02 富士通株式会社,東京品川病院

富士通株式会社(注1、以下 富士通)と東京品川病院(注2)は、このほど、新型コロナウイルス肺炎の診断に有効とされる胸部CT(Computed Tomography:コンピューター断層撮影)検査による画像診断の支援を行うAI技術の共同研究開発を、9月2日より実施します。

本技術は、新型コロナウイルス肺炎が疑われる患者の胸部CT画像に対して、AIが肺の陰影の広がりなどを数値化および3次元で可視化し、さらに感染の可能性を提示することで、医師の画像診断を支援します。これにより、患者一人当たり数百枚にもおよぶ胸部CT画像を目視で確認し、新型コロナウイルス肺炎か否かを診断する医師の大幅な負担軽減を目指します。

また、問診では新型コロナウイルス感染の可能性が低いと判断された場合でも、胸部CT画像所見から、新型コロナウイルス肺炎を見つけ出し、早期発見につながることが期待できます。

両者は本研究を通して、新型コロナウイルス肺炎に対するAI画像診断支援技術を高め、富士通はヘルスケアソリューションとしての本技術のサービス化を目指します。

図1. 想定される新型コロナウイルス感染症の検査の流れ

図1. 想定される新型コロナウイルス感染症の検査の流れ

(※本共同研究開発によるAI画像診断支援技術)

背景

新型コロナウイルス感染の疑いが強い患者さんの治療を行う際、PCR検査結果だけでなく、血液検査や胸部CT検査など、他の検査結果を踏まえて総合的に診断および治療方針の決定を行います(図1)。PCR検査が陰性でも、その他の検査によって新型コロナウイルス肺炎と診断される場合もあり、胸部CT検査による画像診断は重要な位置づけとなっています。

肺疾患の診断では、医師が患者さんの胸部CT画像に映った病変部の陰影の特徴に基づき診断していますが、異常な陰影の判別だけでなく、肺全体にわたる陰影の立体的な分布状況を把握するため、患者一人あたり数百枚にもおよぶ胸部CT画像を目視で確認しています。特に、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、医師の負担を軽減し、スピーディーな診断を支援する技術が求められています。また、問診で新型コロナウイルス感染の可能性が低く、PCR検査が実施されない場合、その患者さんの胸部CT画像から新型コロナウイルス肺炎を見つけ出すことも重要です。

これらの診断支援の必要性から、富士通と東京品川病院は共同で、新型コロナウイルス肺炎の診断に有効な手法とされる胸部CT検査に対して、AIを活用した医師の画像診断支援技術の開発を開始します。

共同開発するAI画像診断支援技術について

  • 東京品川病院が有する過去の新型コロナウイルス肺炎の胸部CT画像データから肺の異常陰影パターンを検出し、それらのデータをAIに学習させることで新型コロナウイルス肺炎の可能性を示すAI技術を開発し、その技術の有効性を両者で検証します。
  • 医師が新型コロナウイルス肺炎を診断する際、肺に見られる異常陰影のパターンと肺全体の異常陰影の広がり方が診断のための重要な情報となっています。異常陰影のパターンの検出は株式会社富士通研究所(注3)が開発したAIを活用して行い、CT画像上で肺を右肺末梢、右肺中枢、左肺中枢、左肺末梢の4つの領域に分割し、各領域の上下方向の陰影分布をヒストグラム(注4)化します。これにより、三次元的な陰影の広がりを数値化し、検出された異常陰影パターンと陰影分布を用いて新型コロナウイルス肺炎を判別するAIを新たに開発します。
  • AIによって新型コロナウイルス肺炎の可能性を示すことで、医師が胸部CT画像から肺炎の診断をする際、陰影の立体的な広がりを数百枚の胸部CT画像から目視で確認していた診断時間を短縮し、専門医のみならず、新型コロナウイルス肺炎の診断を効率良く行うことを目指します。

図2. 画面イメージ

図2. 画面イメージ

今後について

両者は今後、本共同研究開発を通じて、新型コロナウイルス肺炎の診断に活用される様々な情報を利用できる技術を確立することで、AIによる胸部CT画像診断から新型コロナウイルス肺炎の画像診断支援技術の向上を目指します。

富士通は、ヘルスケアソリューションとして本技術のサービス化を検討し、また電子カルテ情報とも連携させることで、胸部CT画像をもとにした医師の診断支援だけでなく、本技術の活用領域拡大を目指します。

東京品川病院は、院内で実施している様々な研究との融合を目指し、新型コロナウイルス肺炎の診断治療に役立て、さらなる社会貢献を目指します。

商標について

記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。

以上

注釈

注1 富士通株式会社:
本社 東京都港区、代表取締役社長 時田隆仁
注2 東京品川病院:
所在地 東京都品川区、院長 蒲池健一
注3 株式会社富士通研究所:
本社 神奈川県川崎市、代表取締役社長 原裕貴
注4 ヒストグラム:
データの分布状況を視覚的に認識可能な統計グラフの一つ

本件に関するお問い合わせ

富士通コンタクトライン(総合窓口)

東京品川病院

治験開発・研究センター

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