2024-09-18 筑波大学
(Image by maxim ibragimov/Shutterstock)
ダイズ圃場の土壌揮発性有機化合物(VOC)の組成(土壌VOCプロファイル)を3年間にわたって包括的に分析し、土壌の状態の評価指標としての可能性を検討しました。その結果、土壌VOCプロファイルは土壌関連の網羅的なデータセットと強い相関を示し、有効な評価指標になりうることが分かりました。
土壌の健全性は、持続可能な農業生産にとって重要です。近年、土壌揮発性有機化合物(VOC)が土壌の状態を敏感に反映しうることが報告されています。そこで、ダイズ圃場の土壌VOCの組成(土壌VOCプロファイル)を包括的に分析し、土壌の評価指標としての可能性を検討しました。
福島県のダイズ圃場において、3年間にわたり異なる土壌条件で土壌サンプルを採取し、VOCを分析しました。さらに、より包括的な評価のため、各種土壌物理特性データや、土壌中の化合物および微生物のデータを取得しました。これらの土壌VOCプロファイルを解析した結果、開花期にダイズが生育するときに土壌VOC量が増加すること、土壌VOCプロファイルは、土壌関連の網羅的なデータセットと強い相関を示すことなどを、作物が生育する圃場について、世界で初めて明らかにしました。
本研究成果は、土壌VOCプロファイルが農地の土壌評価の指標となることを示唆しています。
PDF資料
研究代表者
筑波大学生命環境系/理化学研究所環境資源科学研究センター
草野 都 教授
理化学研究所バイオリソース研究センター
市橋 泰範 チームリーダー
福島大学食農学類
二瓶 直登 教授
北海道大学大学院農学研究院
濱本 昌一郎 教授
東京大学大学院農学生命科学研究科附属アイソトープ農学教育研究施設
小林 奈通子 准教授
京都大学生存圏研究所
杉山 暁史 教授
掲載論文
- 【題名】Soil volatilomics uncovers tight linkage between soybean presence and soil omics profiles in agricultural fields.
(土壌volatilomicsにより農地におけるダイズの有無と土壌オミクス特性の強い結びつきを発見) - 【掲載誌】Scientific Reports
- 【DOI】10.1038/s41598-024-70873-x