ドコモが開発した「マルチプラットフォームクラウドレンダリング」の実用化に向けた共同実証実験に成功~専用の環境や高機能端末なしに、スマートフォンで高精細 3D 映像が利用可能に~

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2024-07-25 株式会社NTTドコモ .NTTコミュニケーションズ株式会社

株式会社 NTT ドコモ(以下、ドコモ)と NTT コミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は、ドコモが新たに開発した「マルチプラットフォームクラウドレンダリング」(以下、本技術)の実用化をめざし、NTT Com が販売する「docomo MEC®※1」などエッジコンピューティング環境※2 を利用した 3D 映像リアルタイム配信の実証実験(以下、本実証実験)を行い、屋外などの環境においてもタブレットやスマートフォンで高精細な 3D 映像を配信することに成功しました。

ドコモが開発した「マルチプラットフォームクラウドレンダリング」の実用化に向けた共同実証実験に成功~専用の環境や高機能端末なしに、スマートフォンで高精細 3D 映像が利用可能に~
【クラウド上の高精細な 3D 映像をスマートフォンで閲覧する画面イメージ※3 】

本技術は、3D 映像処理アプリにミドルウェアとしてアドオンすることで、普段ご利用しているタブレットやスマートフォンを用いて高精細な 3D 映像を利用可能にする技術です。エッジコンピューティング環境上の 3D 映像処理アプリに本技術を適用することで、映像品質を良好に保つ利用環境を実現します。これまで 3D 映像処理アプリを利用するためには高機能を備えたパソコンが必要とされていましたが、クラウド側で高精度の情報を映像化してその結果をモバイル提供する仕組みが簡易に実現できることで、さまざまな産業分野における 3D 映像利用を可能にしました。

本実証実験は、本技術をクラウドコンピューティング環境とエッジコンピューティング環境に適用し、移動先(産業トピックス現場)での利用を想定した 5G 通信、または施設内での利用を想定した無線 LAN・有線 LAN の通信手段を経由して、タブレットおよびスマートフォン上で 3D 映像品質や操作に対する応答性能の評価を行いました。その結果、エッジコンピューティング環境において良好な映像品質、短い応答時間を維持する動作結果となり、モバイル端末上で流れるような 3D 動画映像をスムーズに操作できることを実証しました。※4


【クラウドコンピューティングとエッジコンピューティングのネットワーク経路の違い】


【測定例︓クラウドレンダリングを一定時間実行した際のクライアントにおけるフレームレート】


【測定例︓クラウドレンダリングを一定時間実行した際のクライアント要求に対する応答時間】

従来、産業分野で利用される高精度 3D 映像は、デジタルツインという現実空間の再現をするために高精度の点群データ※5 などを大量に扱うことから映像処理の負荷が高く、そのため産業現場などではモバイル利用は普及していない状況がありました。また、前述の高負荷な高精度 3D 映像をクラウドコンピューティング環境で分散処理するクラウドレンダリング技術はもともと 3D データを駆使したオンラインゲーム用途で開発されたもので、産業用として利用するには困難なものでした。本技術はそれらの課題に着目し開発したもので、例えば、デジタルツインの分野における、工場のフロア設計、土木、建築現場の点群測量 3D 映像活用、や産業メタバースの分野では、没入感ある疑似体験を活かした製造プロセス・品質管理のトレーニングやシミュレーションなど利用がひろがり、さらにエッジコンピューティングや各サーバで映像配信時のフレームレートを 15~60fps に設定して実行した結果。(数字が大きいほどなめらかな動画映像)クラウドコンピューティングは 15fps 以上フレームレートを上げられなかったが、エッジコンピューティングでは 30fps まで上がった。 RTT(Round Trip Time)はサーバへの要求から応答までの時間。(この時間が短いと、よりスムーズな操作が可能)クラウドコンピューティングはエッジコンピューティングの倍以上の時間がかかることが多かった。クラウドコンピューティングエッジコンピューティングクラウドコンピューティングエッジコンピューティング docomo MEC と合わせて利用することで、高セキュリティかつ低遅延に品質を落とさず持ち歩き活用できるビジネスが期待できます。

ドコモと NTT Com は、本技術を活用したサービスを 2025 年度中の提供をめざし、より高通信品質、低遅延、高セキュリティな利用が可能な「エッジコンピューティング」 を組み合わせ、いつでもどこでも安心してご利用できるサービス開発に取り組みます。また、デジタルツインやメタバースなどを含む多様なアプリケーションを統合したエコシステムを構築し、産業界全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させることをめざしてまいります。

なお、ドコモおよび NTT Com は、本実証実験成果について 2024 年 8 月 27 日(火)にシンガポールで開催される「AR/VR 展示会 Augmented World Expo Asia ※6 」(AWE Asia)において講演を行います。

※1 「docomo MEC」 ︓利用するデバイスにできるだけ近い場所にサーバを配置することで一般のパブリッククラウドよりも通信距離を短縮するとともに、ドコモネットワーク内で通信を行うことで、モバイル通信のリアルタイム性・セキュリティ性を向上させるサービスです。 詳細は以下をご確認ください。 https://www.mec.docomo.ne.jp/index.html
※2 本実証実験で利用した NTT Com のエッジコンピューティング環境は「docomo MEC」と、オンプレミス環境のエッジサーバ※7 です。
※3 本技術の性能評価を目的としたデモ映像。疑似空間を歩くロボットを活用し、工場内における歩行経路の安全性をシミュレーションするユースケースを想定しています。
※4 詳細な実証実験の結果については、「別紙」をご確認ください。
※5 点群データ︓3 次元空間を直交座標の観測点集合で表現するデータです。
※6 Augmented World Expo Asia︓拡張現実、仮想現実、ウェアラブル技術の分野に焦点を当てたカンファレンスおよび展示会です。詳細は以下をご確認ください。 https://www.aweasia.com/
※7 オンプレミス環境のエッジサーバ︓データ処理とストレージを企業や組織の施設内で行うためのインフラストラクチャです。ローカルで事前処理したデータをクラウド送信することで、低遅延、データ主権、セキュリティ強化を実現します。

*「docomo MEC」は株式会社 NTT ドコモの登録商標です。
*「docomo MEC」は株式会社 NTT ドコモが提供元であり、NTT コミュニケーションズ株式会社が代理人として保有する契約締結権限、および包括的な業務受託にもとづき販売しています。

本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
株式会社 NTT ドコモ R&D イノベーション本部 クロステック開発部都市デザイン技術開発担当
NTT コミュニケーションズ株式会社経営企画部 広報室

別紙

実証実験の概要
1. 目的

本技術を活用したクラウドコンピューティング環境とエッジコンピューティング環境において、タブレットおよびスマートフォン上における 3D 映像の操作・応答性能を評価することで、高精度 3D 映像を安定した品質で提供可能か、を検証しました。

2. 実証実験概要
実証実験は、大きく 2 つの利用シーンに分けて実施しました。
① 「docomo MEC」とクラウドコンピューティングに構築したクラウドレンダリング環境へ 5G の無線接続した場合の性能比較(移動先での利用シーンを想定) 5G 接続試験では SA 基地局(5G 専用)、NSA 基地局(5G・4G 共用)の比較も実施。
② オンプレミス環境のエッジサーバとクラウドコンピューティングに構築したクラウドレンダリング環境へ有線 LAN・無線 LAN 接続した場合の性能比較(事業者施設内での利用シーンを想定)
本実証実験では、操作に対する応答時間が人の体感できる 0.1s を下回ること、映像品質が一時的に低下しても正常な状態へ 1.0s 以内で回復することを目標設定して検証しました。

【実証実験結果】エッジコンピューティング環境ではほぼ安定したビットレートを保ったのに対して、クラウドコンピューティング環境では局所的にビットレートが低下するシーンが定期的に存在することを確認しました。


【測定例︓クラウドレンダリングを一定時間実行した際の映像ビットレート】

クラウドコンピューティングでビットレートが急低下するシーンでは映像品質の劣化する現象が見られました。例えば、クライアント側に配信された映像に以下のような違いがあらわれています。また、ビットレートの低下した状態では動画の進行遅延は微小な一方で、映像品質は境界線や物体の形状が不鮮明になる影響が発生しています。


【ビットレート低下時のクラウドレンダリング映像への影響】

本実証実験では、目標設定した操作に対する応答時間が 0.1s を下回ること、映像品質が一時的に低下しても正常な状態へ 1.0s 以内で回復することを確認しました。
これらの結果から、本技術は高精度 3D 映像を安定した品質で提供可能であることを実証しました。

3. 主な役割
ドコモ
マルチプラットフォームクラウドレンダリング技術の提供

NTT Com
エッジコンピューティングインフラ環境の構築・提供

1600情報工学一般
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