2022-12-13 京都大学
分子工学専攻の 関修平 教授、筒井祐介 同助教、ベルリン工科大学Arne Thomas教授、Samrat Ghosh同研究員、Jin Yang同博士課程学生、Reinhard Schomäcker同教授らの研究グループは、ポツダム大学Peter Saalfrank教授、ヘルムホルツ協会Roel van de Krol教授らと共同で、Covalent Organic Framework(COF)とよばれる材料の設計に対して結合様式を制御することで、その電荷輸送特性および水素発生の効率が大きく向上することを見出しました。
COF材料は電荷輸送に必要なパイ共役電子系と物質輸送に必要な多孔性を兼ね備える事ができ、物質輸送の効率化や電荷の生成効率の向上が期待されています。しかしながら、COF材料の開発には反応物の組み合わせ探索が多く行われてきたものの、反応物同士の繋ぎ合わせ方にはほとんど注目がなされてきませんでした。本研究の成果により、今後の材料探索に結合様式の制御という新たな自由度が加わり、より優れた特性を有する新規COF材料の展開や水素発生効率の向上を通して持続可能な社会に向けた材料開発の一助となることが期待されます。
本成果は、2022年10月23日に英国の国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載されました。
新規設計したCovalent Organic Frameworkにおける2種類の構造異性体と水素発生反応の模式図。結合様式に着目したことで、水素発生反応が8倍以上に向上した。
研究者情報
関修平
筒井祐介
書誌情報
タイトル
Constitutional isomerism of the linkages in donor-acceptor covalent organic frameworks and its impact on photocatalysis
(ドナーアクセプター混合型共有結合性有機分子骨格における構造異性体の設計が光触媒に与える影響)
著者
Jin Yang, Samrat Ghosh, Jérôme Roeser, Amitava Acharjya, Christopher Penschke, Yusuke Tsutsui, Jabor Rabeah, Tianyi Wang, Simon Yves DjokoTameu, Meng-Yang Ye, Julia Grüneberg, Shuang Li, Changxia Li, Reinhard Schomäcker, Roel Van De Krol, Shu Seki, Peter Saalfrank, Arne Thomas
掲載誌
Nature Communications