2022年11月の地震活動の評価

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2022-12-09 地震調査研究推進本部地震調査委員会

1.主な地震活動
○ 11 月9日に茨城県南部でマグニチュード(M)4.9 の地震が発生した。この地震により茨城県で最大震度5強を観測し、負傷者が出るなどの被害を生じた。

2.各領域別の地震活動
(1)北海道地方
○ 11 月6日に北海道東方沖の深さ約 50km で M5.4 の地震が発生した。この地震の発震機構は北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。

(2)東北地方
○ 11 月 17 日に青森県東方沖の深さ約 65km で M5.0 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。
○ 11 月 30 日に福島県沖の深さ約 40km で M5.1 の地震が発生した。この地震の発震機構は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。

(3)関東・中部地方
○ 2018 年頃から地震回数が増加傾向にあった石川県能登地方の地殻内では、 2020 年 12 月から地震活動が活発になっており、2021 年7月頃からさらに活発になっている。2022 年 11 月には、これまで活動が見られていた領域よりも南東側でややまとまった浅い地震活動があり、また、活動域の西端付近で M4.4 の地震が発生するなど、一連の地震活動は、現在のところ減衰する傾向は見えず、依然として活発な状態が継続している。
これまでの最大の地震は、2022 年6月 19 日に発生した M5.4 の地震である。この他、2021 年9月 16 日に M5.1 の地震、2022 年6月 20 日に M5.0 の地震が発生した。2020 年 12 月1日から 2022 年 12 月9日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 255 回、このうち震度3以上を観測する地震が 37 回発生した。2022 年 11 月1日から 12 月9日 08 時までに震度1以上を観測する地震が 28 回、このうち震度4を観測する地震1回(M4.2)を含め、震度3以上を観測する地震が5回発生した。
GNSS観測の結果によると、2020 年 12 月頃から、石川県珠洲(すず)市の珠洲観測点で南南東に累積で1cm を超える移動及び4cm 程度の隆起、能登町の能都(のと)観測点で南南西に累積で1cm を超える移動が見られるなど、地殻変動が継続している。
これまでの地震活動及び地殻変動の状況を踏まえると、一連の地震活動は当分続くと考えられるので強い揺れに注意が必要である。
○ 11 月3日に千葉県北西部の深さ約 70km で M4.9 の地震が発生した。この地震令 和 4 年 1 2 月 9 日地 震 調 査 研 究 推 進 本 部地 震 調 査 委 員 会 2 の発震機構は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型で、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生した地震である。
○ 11 月9日に茨城県南部の深さ約 50km で M4.9 の地震が発生した。この地震の発震機構は北北西-南南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生した地震である。GNSS観測の結果によると、この地震に伴う有意な地殻変動は観測されていない。
○ 11 月 14 日に三重県南東沖の深さ約 360km で M6.4 の地震が発生した。この地震の発震機構は太平洋プレートの沈み込む方向に圧力軸を持つ型で、太平洋プレート内部で発生した地震である。この地震により北海道地方から中国地方にかけて震度4から震度1を観測したが、沈み込む太平洋プレート内を伝わった地震波により、震央から離れた東北地方及び関東地方で揺れが大きくなった(異常震域)。

(4)近畿・中国・四国地方 目立った活動はなかった。

(5)九州・沖縄地方目立った活動はなかった。 (6)南海トラフ周辺 ○ 南海トラフ沿いの大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる特段の変化は観測されていない。 注:GNSSとは、GPSをはじめとする衛星測位システム全般をしめす呼称である。

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1702地球物理及び地球化学
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